651部分:最終話 愛の死その二
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最終話 愛の死その二
「その為にですね」
「その通りです」
「あの方はバイエルン王を御救いしたいのです」
「だからこそ我々はここに来ました」
「捕らわれの王を御救いする為に」
「そうですか。では今から」
ホルニヒの顔に希望が戻った。それまで絶望していた顔に希望が戻った。そうしてだ。
馬から降りて彼等と同じ目線になったうえでだ。彼等に言うのだった。
「私に協力して下さるのですね」
「では御同行願えるでしょうか」
「貴方に御会いして欲しい方もおられますし」
「どなたですか?」
それが誰かが気になりだ。すぐに問い返したのだった。
「その方は」
「貴方と同じお考えの方です」
「そして非常に高貴な方です」
「あの方ですか」
彼等の少しの言葉だけでわかった。それが誰なのか。
そしてだ。彼は考える目で述べたのである。
「また旅に出ておられるのは聞いていましたが」
「密かに今はこの近くにおられます」
「潜伏という形で」
「そして我々と共にです」
「バイエルン王を御救いしようと為されているのです」
「貴方達に加えてあの方も来られたとなると」
ホルニヒの顔にさらに希望が宿った。それでだ。
彼はだ。こう男達に言ったのだった。
「有り難いです。陛下はこれで」
「はい、御救いできます」
「確実にです」
ベルリンから来た者達は彼等の行動の成功を確信していた。
それ故にだ。強い声でホルニヒに言ったのである。
「では御同行願えますね」
「バイエルン王の為に」
「はい、是非共」
ホルニヒも応える。こうしてだった。
彼はベルリンの者達と共にある場所に向かった。そこは湖、シュタンベルク湖の傍にある質素だが趣のある屋敷だった。そこに入るとだ。
オーストリア皇后がいた。その彼女にだ。
ホルニヒは恭しく一礼した。そしてそのうえで皇后に対して言ったのである。
「エリザベート様、ようこそ」
「聞いていますね。彼等から」
「はい、陛下をですね」
「これがオーストリア、ドイツの考えです」
皇后、そしてビスマルクという意味でもあった。
「あの方を御救いします」
「有り難うございます、それでは」
「あの方は湖のほとりのある城に幽閉されています」
「そこまでわかったのですか」
見れば皇后の周りにはベルリンの者達だけでなくだ。皇后の側近である侍女達もいる。その彼女達も見てだ。ホルニヒは皇后もビスマルクも本気であることをあらためて知った。
そのうえでだ。彼は確かな声で皇后に話した。
「では。あの方を」
「時期があります」
「今すぐにではありません」
ベルリンの者達が焦ろうとするホルニヒに話してきた。
「ですから今はです」
「計画を練りましょう」
「はい、それでは」
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