第二章
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「それならな」
「ここは、ですね」
「そうだ、もう人でも他の種族でも神でもいい」
「エレクトラ王女でもいいという男を」
「独身のな。その者を探すぞ」
「あらゆる手段を使って」
「この世のあらゆる場所からな」
こう言ってだった、アポロンは烏だけでなく他の自分に仕える者達それこそ従神や神殿の神官達に神託を出してまでしてだった。
そのうえでエレクトラに相応しい相手をそれこそあらゆる世界の隅から隅まで探させた。そして他の神々にもそうした者がいるのか聞いたが。
大抵の神がその話を聞いてこう言った。
「いる筈がないだろう」
「あの王女を妻にという男なぞ」
「そんなもの誰がいるのだ」
「あの様な恐ろしい女を」
こう言って誰もがその様な男はいる筈がないと言った、それこそゼウスやポセイドン、ハーデスの様なそれぞれの世界を治める神々でもだ。
いないと言った、それでアポロンは遂にだった。
最後の希望でだ、愛の女神アフロディーテに尋ねることにした。もう恋愛の成就からの結婚といえば彼女だからだ。
それで彼女の方に行くとこう言われた。
「非常にです」
「難しいか」
「やがて私のところに来ると思っていました」
「そうだったのか」
「相手が見付からず」
「実際に一人も見付かっていない」
アポロンはアフロディーテに真実を話した。
「人間だけでなくな」
「神々でもですね」
「他の種族でもな」
「パンでもですね」
「どうかと言ったら断られた」
そのパンにというのだ。
「冗談ではないとだ」
「言われましたか」
「それも全力でだ」
そのパンにというのだ。
「断られた」
「それは当然ですね」
「彼は女好きだが」
それでよく森でニンフ達を追いかけている、ニンフ達もまんざらではないがそれでもあえて逃げて追いかけっこを楽しんでいるのだ。
「しかし」
「その彼もですね」
「断った、言うまでもなくだ」
「ゼウス様も他の神々の方も」
「誰もだ」
まさに誰一人としてというのだ。
「論外といった感じだ」
「やはりそうですね」
「考えてみてくれ、あの父上がだ」
美女には目がないゼウスがというのだ。
「一瞥もされないのだ」
「彼女の話を聞いて」
「そうしているのだ」
「ですが当然ですね」
「あそこまで凄まじい気質だとな」
「ゼウス様が浮気された時のヘラ様もかくやですから」
実はヘラもエレクトラを見て驚いていた、そして自分よりも凄いと言ったのだ。
「彼女は」
「そしてだ」
「同性もですね」
ギリシア世界では同性愛は普通だ、特に男性間では。アポロン自身美女だけでなく美少年も愛している。
そのアポロンにだ、アフロディーテは言うのだ。
「そちらも」
「駄目だ、本当にだ」
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