第二章
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「流石に私もな」
「老いたとですか」
「そう言われますか」
「幸い五十五を過ぎたが」
当時としては結構な長寿である。
「しかしな」
「それでもですか」
「長生きをされましたが」
「皺が増えた」
「老いたとですね」
「どうしても思ってしまう」
周りの者達に溜息と共に話した。
「これは仕方がないか」
「生きておられれば」
「やはり人は老います」
「このことは仕方ありませぬ」
「人なのですから」
「プリンキケプス、アウグストゥスと呼ばれようともな」
ローマの至高の座だ、そこにあってもというのだ。
「やはり私は人だ」
「人ならばですね」
「老いてしまう」
「それからは逃れられないですね」
「そうだ、そして老いるとな」
どうしてもというのだ。
「顔に皺が増え肌も衰えてくるな」
「仕方ありませんね」
「このことについては」
「出来るだけ若返る様にしていますが」
「そうした食事や薬を用意していますが」
「それでも」
「黄金の林檎があればな」
オクタヴィアヌスはオリンポスの神々が口にするこの果実のことも思った。
「こうした思いはしないが」
「それではですか」
「人をやってですか」
「黄金の林檎を探しますか」
「そうも思うがそこまでした者はかつてもいただろう」
黄金の林檎を手に入れて老いから逃れようとした者はというのだ。
「やはりな、しかしな」
「神話では見付けていますが」
「それでもです」
「今見付けた者は」
「それは」
「ヘラクレスの様な勇者でないとだ」
黄金の林檎を見付けたという神話の英雄だ。
「それこそだ」
「見付けられませんか」
「とても」
「スパルタカスがいればやっていた」
彼程の勇者が今いればというのだ。
「しかし流石にいない、だからな」
「それもですか」
「されませんか」
「そうですか」
「ヘラクレルかスパルタカスでもなければ」
そこまでの者でなければというのだ。
「ヘスペリス達のところまで行きな」
「あのラドンをどうにかして」
「そうしてですね」
「黄金の林檎を手に入れられない」
「そうですか」
「若しそうした者がいれば」
どうするかもだ、オクタヴィアヌスは話した。
「私だけでなくその者にもだ」
「黄金の林檎を食べさせる」
「そうされますか」
「褒美としてな、しかしそこまでの者はいないしな」
彼が頼む者達は多いがだ。
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