第一章
[1/2]
[1]次 最後 [2]次話
死ぬ神託
ギリシアの諸都市はこの時次第にトロイアとの関係を悪くさせていた。
それでギリシアでも随一の英雄と言われているアキレウスもこのことが気になってだった。デルフォイに向かうことにした。
その際だ、供の者達はアキレウスに対して尋ねた。
「やはりギリシアとトロイアがどうなるか」
「そのことが気になって」
「それで、ですか」
「そうだ、双方の関係がどうなるかをだ」
まさにとだ、アキレウスはその神々しいまでに整った顔で答えた。髪の毛も身体も美しく母が女神テティスであることが実によく出ていた。
その彼がだ、供の者達に言った。
「神託を受けてだ」
「お知りになりたいですね」
「そしてアキレウス様もどうなるか」
「双方の関係にどう関わるか」
「そのことをですね」
「知りたいのだ、若しギリシアの諸都市とトロイアが戦うことになれば」
どうなるか、アキレウスは供の者達に険しい顔で述べた。
「わかるな」
「はい、まさにギリシアの諸都市がです」
「あの街との戦いに入ります」
「どの街も兵を出すことになります」
「そしてですね」
「アキレウス様も」
「戦うことになる」
戦場に出て、と言うのだった。
「是非な、だからな」
「それで、ですね」
「神託を聞いてですね」
「そしてですね」
「どうなるかをお知りになりたいですね」
「そうだ、だから今から行くのだ」
デルフォイ、そこにというのだ。
「今からな」
「わかりました、確かにです」
「今ギリシアの諸都市とトロイアの関係は悪くなる一方です」
「ここでも若し何かあれば」
「その時は」
まさにとだ、供の者達も言うのだった。ギリシアの諸都市とトロイアは領土や貿易のことで常にいがみ合う様になっていた、そこでだった。
何かあるとすぐに全面戦争になる、このことが明らかだからだ。
アキレウスも神託を聞く為にデルフォイに赴いた、そしてデルフォイに着いて神託を受けた。その神託についてだ。
アキレウスは彼等が自分に忠実に仕えてくれる供の者達だからだ、こう言った。
「戦争になるとのことだ」
「やはりそうですか」
「ギリシアとトロイアは」
「そうなりますか」
「そう言われた、ギリシアの諸都市がだ」
まさにと言うのだった。
「トロイアを攻める、この戦いは長くなり」
「そしてですか」
「アキレウス様もですか」
「その戦いに参加されますか」
「そして死ぬと言われた」
ギリシアとトロイア、双方の戦争の中でというのだ。
「ギリシアは勝つと言われたがな」
「ギリシアが勝ちますか」
「つまり我々が」
「そうなるのですか」
「神託ではそう言われましたか」
「予言では」
「そう思うと戦いはな」
まさに
[1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ