第五章
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「降る様に言いましょう」
「それでいいのか」
「はい、それで終わりです」
こう夫に言うのだった、そしてだった。
李は妻の言う通りに洞穴に残っている賊達に降る様に言った、すると人煙と蓮花に散々にやられていたまだ僅かに残っていた賊達も降った。
賊達は生きている者達は全て縛り役所に突き出した、そうしてだった。
案内をしてくれた賊のことは蓮花は役人にしっかりと話し彼には極めて寛大な沙汰が降った、聞けば賊達はまださして悪いことはしておらず死罪となった者はおらずまた蓮花に切られ倒された者も傷が深い者はいたが死んだ者はいなかった。
それでだ、蓮花は家に帰ってから夫に言った。
「戦の場の様に死ぬ者が出なくてよかったです」
「戦の場で!?」
「はい、戦の場ではこうはいきません」
こう言うのだった、蓮花はこの言葉をあっさりと言ったが夫は若しやと思った。
それで行き遅れになっていた妻のことも思ってだ、まさかと思いつつもある噂を妻に話したのだった。
「花木蘭の話だが」
「それは実は」
「実はか」
「隠していて申し訳ありません」
妻は夫に畏まって話した。
「実は私はです」
「そうだったのか」
「はい、本当の名はです」
「蓮花ではなくか」
「木蘭といいます」
「花木蘭か」
「そうなのです」
こう名乗ったのだった。
「あまりにも名が知られてしまったので」
「十二年の間戦っていたというが」
「男として」
性を隠してというのだ。
「武人として戦の場にいました」
「その話は本当のことでか」
「それが私でして」
「軍から退いてか」
「父にいよいよ結婚する様に言われまして」
それでというのだ。
「貴方の妻となったのですが」
「あの時父上はご自身の妾にと言われていたが」
この時のこともだ、李は思い出した。
「それがか」
「はい、それがです」
まさにというのだ。
「お父上に言われて貴方の妻となったのです」
「そうだったのか」
「何分歳を経ていたので」
誰かの妻になるにはだ。
「父上も私もどなたかの妾と考えていましたが」
「私の父上のお言葉でか」
「貴方の妻にならせて頂いたのです」
「そうだったのか」
「私にとっては行幸でした」
蓮花、真の名を木蘭という彼女はこう答えた。
「まことに」
「いや、それはだ」
「それはといいますと」
「私の方だ」
僥倖なのはというのだ。
「むしろな」
「そう言って頂けますか」
「当然だ、もしそなたが妻に来てくれなければ」
それこそと言うのだった。
「賊を退治出来なかったしそれに家のこともだ」
「そちらもですか」
「今の様になっていなかった、だからだ」
「旦那様の方が僥倖だとですか」
「思う」
こう言ってだった
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