第二章
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「それが不思議でならない」
「確かにな」
「そのことはその通りだな」
「あれだけの女がずっと一人だったのか」
「何故誰かの家に入らなかった」
「不思議なことだ」
李の友人達も思うことだった、蓮花が優れた妻であり母親であることを見て余計にだ。李の家はその蓮花のお陰でさらによくなっていくその中で。
李は妻のことを不思議に思いながらも彼女に感謝しつつ仕事に励み家のことにも心を砕いていた、そうして家が豊かになっていくのを喜んでいた。
だが彼の家の周りに時折見たこともない者達が見られる様になった、蓮花が最初にその彼等に気付いて言った。
「旦那様、気をつけて下さい」
「どうしたんだ?」
「賊が我が家に目をつけたそうです」
「賊が?」
「近頃天下も収まりです」
そしてというのだ。
「賊も減っていますが」
「まさか」
「はい、我が家の豊かさに目をつけて」
「近くにまだいた賊達がか」
「我が家に狙いを定めている様です」
「それは大変だ」
李は妻のその話に驚いて言った。
「早く備えておくか」
「いえ、ここはです」
「ここは?」
「備える用意をしてはかえってです」
蓮花は夫に確かな声で話した。
「賊に気付かれます」
「そうなるというのか」
「はい、こちらが武器を揃え守りを用意すれば」
「賊もか」
「警戒してです」
そしてというのだ。
「かえって強く攻めて来て退けたとしても」
「それでよくはないのか」
「いえ、それでは無闇に死ぬ者傷付く者が出ます」
家の者達でというのだ。
「そうなりますので」
「ではどうすればいいのだ」
「こちらから攻めるべきです」
「こちらから?」
「はい、おぞらく賊は」
ここでだ、蓮花は自分達がいる村の周りを見回した。大きい村で人が多く豊かな村だ。
その村の外の方に山がある、そこを見て言うのだった。
「あの山の方にいます」
「あそこにか」
「はい、あの山が敵の根城です」
「あの山に先にか」
「こちらが入ってです」
「攻めてか」
「倒してしまいましょう」
こう李、自分の夫に言うのだった。
「そうしましょう」
「こちらから攻めるのか」
「はい、それが一番です」
妻は夫に確かな声で言った。
「そうしましょう」
「そうなのか、では」
「そうされますか」
「御前はそう思うのだな」
李はすぐに答えずに妻に問い返した。
「守りを備えるよりも」
「逆に攻めるべきです」
「それが一番か」
「退けても根城がある限り賊はまだいますし」
「それならか」
「はい、敵の根城を攻めて敵の全てを滅ぼすべきです」
「そうか、わかった」
信頼している妻の言葉だからだ、それならだった。
李も頷いてだ、そしてだった。
妻に言う通り
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