第三章
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「最初から恋愛しないことは」
「駄目なのね」
「はじめないで怖がって何もしないことは」
それはというのだ。
「もう臆病っていうか」
「臆病なのは自分でもわかってるわ」
「それでそうなってるのね」
「中原中也以外にもトラウマものの失恋の話多いし」
私だったら自殺しそうなそんな失恋話もある、振る方もあんまりだっていう位酷い振り方が世の中にある。
ロマンス、浪漫西と漢字で書きそうなそれは甘いイメージとは違ってとんでもなく残酷だ。そう思う様になったからだ。
私は友人にこう返した。
「徹底的に傷ついて悲しくて辛い思いするのなんて嫌よ」
「だから恋愛は嫌なのね」
「そう思ったわ。駄目かしら」
「駄目とは言えないわね、私も失恋のことは聞いてるしね」
友人は私の言葉を否定しなかった、そのうえで私に言ってくれた。
「辛い思いしたくないって思うのは誰だって同じだし」
「それでなのね」
「あんたがそこまで言うのならいいわ」
「そうなの」
「辛い失恋はそれだけじゃ済まないから」
私と同じことを言ってきた。
「馬鹿な人が囃し立てたり笑ったり言ってきたりして余計に傷つくこともあるし中原中也だって今も言われているし」
「そんなの誰にも言いたくないわよね」
「そう思うと本当にね」
「そんな思いをする位なら」
「私だって突き詰めて考えていくと」
「恋愛はしたくないのね」
「自分が中原中也や他の失恋して酷い目に遭った人の立場になったと思ったらぞっとするわ」
それこそという返事だった。
「だからね」
「いいのね」
「本当の恋愛って何があっても傷ついても構わないって思うっていうけれど」
「私達も何時かそんな恋愛をするのかしら」
「どうかしら。けれどさっきあんたに言った怖がり過ぎって言葉は」
それはというと。
「真実なのね、そしてそう思ったから私もね」
「否定出来なくなったのね」
「ええ、傷ついても苦しんでもいいって思えたら」
遠い目になってだ、友達は私に話してくれた。
「それが本当の恋愛、浪漫西なのかしらね」
「私達何時かそんな恋愛が出来るかしら」
「わからないわね、けれどこんなことを思っているうちは」
それこそという言葉だった。
「まだまだ恋愛や浪漫西とは縁がないのかもね」
「そうね、私達はね」
そうした話になった、本当に今の私達にとって恋愛は怖かった。そうしたものだった。
だから二人共自分達が中原中也みたいになってももっと酷いことになってもいいから誰かを好きになることなんてないと思っていた、けれど私も友達も。
やがてそうなった、その時は二人共不思議に思った、けれどその時は本気だった。そして本気のまま浪漫西を終えてだった。
私は彼女と会った、そうして彼女にコーヒーを飲みつ
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