629部分:第三十六話 大きな薪を積み上げその六
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第三十六話 大きな薪を積み上げその六
「ビスマルク卿は我々の公表を信じておられませんね」
「それは間違いないか」
「あの方は非常に鋭い方です」
洞察力は衰えていない。むしろさらに鋭く強くなっている。
それ故にだ。バイエルンでのことを既にわかっているというのだ。
そのことに対してはだ。ホルンシュタインも危惧する顔で言うのだった。
「長引けば我々にとってよくありません」
「その通りだ。ビスマルク卿が介入されるぞ」
「あの方は陛下に対して好意的です」
それは唯一の会談から変わってはいなかった。王はビスマルクについては不満を漏らすこともあったがビスマルクの王への好意は変わっていない。
そのことを知っているからだ。ホルンシュタインは大公にこう話したのだ。
「ですから今からです」
「ノイシュバンシュタインに向かいだな」
「陛下を保護させて頂きます」
そうするというのである。
「そしてです。殿下は」
「このミュンヘンでだな」
「摂政に就かれて下さい」
そうして欲しいとだ。大公に頼んだのである。流石に王族でありその中でも高位にある大公には要請なぞできはしなかった。
それでだ。こう大公に頼んだのだ。そして大公もだ。
難しい顔であるがホルンシュタインの言葉を受けた。そのうえで言うのだった。
「わかった。しかしだ」
「やはり今もですか」
「私は気が進まない」
浮かない顔での言葉だった。
「どうしてもだ」
「ですがお願いします」
「バイエルンの為にだな」
「そうです。その為に」
「王もまた国家の機関の一つ」
大公はまた啓蒙思想からの考えをだ。述べたのだった。
「それ故にだな」
「はい、問題があれば退位して頂くのです」
「その通りだな。だが陛下の御心は」
「王は国家元首ですので。時としてその御心もです」
「省みられることはない」
「そう言われているではありませんか?」
ホルンシュタインは王権神授説ではなくだ。国王機関説を述べていく。
「今は太陽王の時代ではないのですから」
「その通りだ。最早ルイ十四世はこの世にはない」
そのだ。王が敬愛するフランス王の時代ではないというのだ。
「では、か」
「はい。殿下もまた然りです」
「私はそのことにはやぶさめではない」
国家の為に尽くすこと、それはだというのだ。
「だが。陛下は」
「ですから。御心は国王は時に」
抑えなければならないとだ。ホルンシュタインの主張は変わらない。
「そうするしかないのですから」
「仕方ないか。それではだ」
「はい、今から行って参ります」
こうしてだ。ホルンシュタインは主だった者達と共に王が今いると調査によりわかったノイシュバンシュタイン城に向かった。しかしだ。
深夜に城に向
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