第6章:束の間の期間
第188話「馬鹿らしい」
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る可能性は……」
『ないね。幽世において幽世の神のあたしを嘘程度で欺けるのは、それこそ同等の力を持っていないとあり得ない。……同時に、あたし達が嘘をついている訳ではないとも言っておくよ。この場でこんな嘘はいらないからね』
欺いた所で、幽世側に利点はない。
そもそも出てくる必要がない所に出てきたのだ。
その時点で、嘘などをつく必要性がなかった。
『……気を付けな。事の異常はあんた達が想像している以上に大きい。はっきり言わせてもらえば、神であるあたしにも、何が起こるか分からない状態だ』
「……私も、同感ね。先日、私の本体……式姫ではなく神としての“私”から言伝があったわ。……曰く、お父様とお母様……伊邪那岐と伊邪那美の二柱も“異常事態”として、境界が薄くなっている事に気付いたと」
「ッ………!!」
伊邪那岐と伊邪那美。
日本人で、少しでも日本の神話関連を知っているならほぼ全ての者が知っている神。
その二柱が、紫陽の言った事を“異常事態”だと捉えていると言う事実。
それは、放送を見聞きしていたほぼ全ての日本人に衝撃を与えた。
『……国産みの二柱がそう捉える程だ。くれぐれも、軽く捉えないでほしい。……あたし達からは以上だ』
紫陽がそう言って、緋雪がサーチャー及び映像の術式を破棄する。
なお、最後に緋雪は優輝に向かって笑顔で手を振ったりしていた。
「………」
「………」
既に、会談を続ける空気ではなかった。
紫陽達の言葉を嘘と断じようとする者もいたが、その言葉が出る事はなかった。
紫陽の言った“軽く捉えないでほしい”と言う言霊が、嘘だと思い込みたい自分自身の考えを否定していたためだ。
ちなみにだが、言霊はただの嘘に込めても大した効果はなかったりする。
言霊について知らない者達は理解する由もないが、その性質が真実を裏付けていた。
「……会談は、後日改めます。今日は、ここまでにしましょう」
「……そうですね。こちらでも情報を整理する必要が出ました」
絞り出すように、会談は中止だと言う旨を、放送を通じて表明する。
……こうして、衝撃の事実の判明により、管理局と地球の関係は保留にされた。
両者の関係がどうなるのかを気にするよりも、“また何かが起きる”と言う不安を、日本人だけでなく、管理局をも覆っていった。
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