第6章:束の間の期間
第188話「馬鹿らしい」
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て何より。じゃあ本題だ。……現世と幽世の境界が薄れている』
「ッ……!」
その話に、椿と葵は反応を見せる。
再召喚の直前、椿の本体から聞かされていたからだ。
「……こちらでも、一応話には出ていました。我々には対処法がないので、そちらからコンタクトしてくるまで後回しでしたが……」
『なんだい。管理局は知ってたのか。……いや、なるほど、彼らのおかげか』
リンディ達も、クロノ経由で話だけは知っていた。
その事を聞いて、紫陽は映像越しに優輝へと視線を向けた。
「……境界自体が薄れるのはおかしい事ではない。大門が開いた時もまた、境界が薄れていたのだから。……問題なのは、今回は境界が薄れてなお、異常が起きていない事。……その認識で間違いないか?」
『ご明察。知らない奴についでに説明するけど、こちらの世界である幽世と、そちらの世界である現世は表裏一体の関係にある。どちらかの世界が崩壊すれば、もう片方も崩壊するようになっているのさ』
『魂や秩序、他にも色々な要素で、現世と幽世の均衡は保たれてるんだ』
『そして、その均衡が崩れそうになると、先程言っていたように、二つの世界の境界は薄れてしまう。大門が開いたのも、境界を薄くする要因だ』
紫陽ととこよが、軽く説明する。
政府側の人間は、細かい所まで理解せず、漠然と理解しているようだった。
今はそれでも十分なので、紫陽は話を続ける。
『境界が薄くなれば、世界は混ざり合おうとする。そうなれば、お互いの世界が干渉し合い、世界が崩壊する。……先程言った崩壊に繋がる訳さ』
『でも、そうならないように抑止力として存在しているのが、私達。大門の守護者と、幽世の神が均衡を保つ事で、崩壊を防いでいるの。……今回の件は、危なかったけどね』
『ここまでは本題を言うための説明に過ぎない。……問題となるのはここからさ』
一旦間を置くように、紫陽は言った。
そのために、聞いている人の何人かは息を呑んだ。
『大門を閉じたのに、境界は薄れて行っている。それだけならまだいい。でも、境界が薄れても、二つの世界に悪影響が起きていない』
「……それは……むしろ良い事なのでは?」
誰かが、紫陽の言葉を聞いてついそう呟く。
他にも同じ事を考えていた者は多いのだろう。何人かは頷いていた。
『普通はそう思うだろうね。……でも、あたし達にしてみれば、“異常が起きていない”と言う事そのものが“異常”なのさ』
だが、紫陽は違うと言った。
悪影響がない事そのものが、異常だと、断言した。
『“火薬に火を着ける”と言うのが、本来境界が薄れて崩壊を巻き起こす事だとしよう。……今回の場合は、火薬が湿ってる訳でもないのに、“火薬に火が着か
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