第6章:束の間の期間
第188話「馬鹿らしい」
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、話が進むようになったのだ。
……そんな中、優輝が僅かに反応を見せる。
それに気づいた葵は、周りには聞こえない程度の小声で呼びかける。
「……これは……」
「どうしたの?」
何事かと尋ねる葵だが、優輝は返事を返さない。
「『優輝、何か気になる事でも?』」
「『ちょうど部屋の中心。少し探ってみてくれ』」
同じく優輝を気にしていた椿が、声では反応しないと判断し、伝心で語りかける。
そこでようやく優輝は反応を返した。
「『中心?一体何が……』」
「『これって……魔力?』」
すぐさま葵が探ると、ちょうど全員に囲まれるような位置に、魔力反応があった。
「『クロノ達は会談に集中しているから気づいていないらしい』」
「『……ねぇ、この魔力……』」
無感情になって俯瞰的な感覚で状況を見ていたため、優輝は気づいたようだ。
一方で、葵は感じ取った魔力に疑問を抱いていた。
「『サーチャーの術式だな。隠蔽の術式もあるから気づかれなかった訳だ』」
「『そうじゃなくて!』」
その事ではないと、葵は否定する。
分かってて言っているのか判断が出来なかったため、葵は自分から言う事にした。
「『……あたしの勘違いじゃなければだけど、この魔力って……雪ちゃんのだよね?』」
「『そうだな』」
「っ……!?」
そう。その魔力は緋雪の物だった。そして、優輝はあっさりと肯定で返事を返す。
椿と葵は、緋雪が幽世にいる事を知らない。そのため、大きな驚きとなった。
「やっ―――むぐっ……!?」
「『大声出したらダメでしょ!?』」
「『ご、ごめん……』」
思わず、伝心でなく肉声で驚きを声に出しそうになる葵。
咄嗟に椿が口を塞いだおかげで、周りに聞こえる事はなかった。
「『でも、かやちゃんも人の事言えないよ?』」
「『うっ……確かに悪手だし、ついカッとなってやったのは悪いとは思ってるわよ……。で、でも、それとこれとは関係ないでしょ!?』」
分かってはいたのか、椿は顔を赤くして目を逸らす。
先程の発言で溜飲は下がったのか、怒りは収まっているようだ。
「『……じゃなくて……。優輝、私もどういう事か気になるのだけど』」
「『どうしてサーチャーが……そして、何よりもなぜ雪ちゃんの魔力なのか』」
改めて、二人は伝心で優輝に尋ねる。
「『前者については推測の域を出ないが……緋雪の魔力なのは、おそらく緋雪が幽世から何かしらの方法でサーチャーを飛ばしてきたのだろう』」
「『幽世に!?……そういう事。死後、幽世に魂が行き着いたのね……』」
「『ああ。守護者との戦いで一度負けた時、緋雪が助け
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