第6章:束の間の期間
第188話「馬鹿らしい」
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翌日、改めて会談が行われた。
「……馬鹿らしい」
……そして、椿のその発言で、優輝と葵以外の全員が凍り付いた。
「聞こえなかったかしら?“馬鹿らしい”と、そう言ったのよ」
「なんだと……?」
「お、おい、椿……!」
隅にいたはずの椿が勝手に前に出て話し始める。
それは内容としても展開としても、クロノ達にとって非常に戸惑う展開だった。
「き、昨日は何もしないって……!」
「ええ。対応としてはね。でも、この会談自体は別よ」
そこまで言われて、クロノは押し黙った。
納得したから……ではなく、言葉と表情にあった怒りを感じ取ったからだ。
「正直、管理局を責めるだけならまだ我慢できたわ。でも、それ以上となれば別」
椿が発言した発端は、政府側の言い分だ。
昨日と変わらずに責任を問い続けていたが、今回はさらに土御門家を中心にした裏世界の組織や、さらには自衛隊にまで飛び火したのだ。
さらには、妖だけでなく管理局も好き勝手したのは自衛隊の職務怠慢だと、一部の議員などが言い出したのだ。
「管理局は真摯に責任を取ると応じた。退魔師達も力の限り守ろうと動いた。自衛隊も、自分達に出来る事は最善を尽くした。……だと言うのに、それ以上を求めるのね」
「何だね君は」
「草祖草野姫。草の神の分霊にして、式姫よ」
“神の分霊”。その言葉に何人かが反応する。
だが、発言される前に椿は次の言葉を紡いだ。
「回りくどい言い方も面倒臭いわ。だから、単刀直入に言わせてもらうけど……」
そこで、椿は一旦息を吸って間を置き……
「安全地帯にいた奴が、ふんぞり返って偉そうに批判ばかりしてるんじゃないわよ!!」
マイクも使わず、全員に聞こえる程の声でそう言い放った。
「管理局は責任を取る!退魔師も自衛隊も最善を尽くした!それでその話は終わりじゃない!話すべきなのはこれからどうしていくかや、責任を取る内容を具体的に決める事でしょうが!!何執拗に“お前のせいだ”とか、やれ“お前達がもっとしっかりするべきだった”とか―――」
その勢いに、取り押さえる事も出来ずに、椿の言葉は続く。
皆が驚く中、優輝は無表情で、葵は暢気に椿の怒り具合を感心していた。
「お、おい、優輝、葵……止めないのか?」
「……無理だな」
「そうだねー。今のかやちゃんは、神としての怒りを上手い事言葉だけで出しているから、下手に止めたらそれこそ雷とかが物理的に落ちるよ?」
「……そうか……」
二人さえも止められないと分かり、尋ねたクロノは頭を抱える。
まさか、こん
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