607部分:第三十五話 葬送行進曲その六
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第三十五話 葬送行進曲その六
「どうしても避けたいがだ」
「このままではバイエルンがですね」
「財政破綻を起こしてしまいますね」
「名誉か。破綻か」
そのどちらかだった。まさにだ。
「バイエルンが取るのはどちらかだが」
「そのことについてですが」
側近の一人がここで彼に対して言ってきた。
「ホルンシュタイン卿がお話したいとのことですが」
「伯爵が?」
「はい、あの方がです」
「彼は確か陛下の側近だが」
「ですがそれでもです」
いぶかしむルッツにだ。その側近はさらに話す。
「あの方も御考えがあるとのことです」
「わかった。では伯爵を読んでくれ」
「わかりました。それでは」
こうしてだった。ルッツはすぐにホルンシュタインと会った。会うなりすぐにだ。彼はホルンシュタインのその顔と目を見てだ。こう言うのだった。
「卿は陛下の」
「ですが国王もまた、です」
冷静さを何とか出してそれで全てを覆ってだ。彼は応えた。
「国家の機関ですから」
「私と同じ考えか」
「その様ですね。そういうことです」
「機関だからこそだな」
「割り切った考えですがそうなるでしょう」
ホルンシュタインはやはりだ。冷静さで全てを覆って話していく。
「やはりです」
「ではこのことは」
「はい、このままではバイエルンは破綻します」
一致していた。彼とルッツの考えは。
そしてだった。彼はこう言うのだった。
「ですから。それを避ける為に」
「名誉を捨てるか」
「いえ、バイエルンの名誉は守ります」
ここがだ。ホルンシュタインとルッツの違いだった。彼は名誉は守れるというのだ。だがそれを聞いてルッツはだ。いぶかしみつつ問い返すのだった。
「その様なことができるのか」
「できます。そして退位ですが」
「それもかなり困難だが」
ルートヴィヒ一世の時を思い出してだ。ルッツは話す。
「それも頭が痛い話だ」
「そのどちらも解決できます」
「名誉を守れてそしてか」
「はい。最後の手段も容易にできる方法がです」
「あるならそれは何だ」
ルッツは真剣な顔でホルンシュタインに尋ねた。
「言ってくれ。何だそれは」
「はい、それはです」
一呼吸置いてからだ。ホルンシュタインはだ。ルッツにこう述べた。
「オットー様に国王になって頂きルイトポルド大公に摂政になって頂くことですが」
「オットー様が王にか」
「はい、そして陛下は先王に」
「そうすればいいことはわかった。しかしだ」
ルッツがここで言うのは名誉と退位、その二つのことだった。
そのだ。彼にとって最も気にかけるべきことをだ。彼はまた問うた。
「そこまでどうして至るのだ」
「はい、それはです」
「どうするのだ?」
「オットー様です」
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