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永遠の謎
59部分:第四話 遠くから来たその十二
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第四話 遠くから来たその十二

「今から」
「わかりました」
 声の主は頷いてきた。そうしてであった。
 扉が開いた。そこから強い、それでいて深い叡智と傲慢さをたたえた青い瞳を持つつながった頬髯と顎鬚の男が出て来たのだった。
 絹の服を来ていて小柄だがそれでも妙な威圧感があった。その男がだ。こう男爵に名乗ってきたのであった。
「ワーグナーです」
「貴方がですね」
「はい、リヒャルト=ワーグナーです」
 こう名乗ったのだった。
「私がリヒャルト=ワーグナーです」
「わかりました。では貴方が」
「それではですね」
「はい、それでは」
 こうしてであった。二人はそのまま部屋に入ってだった。
 そのうえでだ。豪奢な部屋の見事なソファーに座ってだ。二人で話をするのだった。
「それでなのですが」
 男爵から話を切り出したのだった。
「宜しいですか」
「はい、それで御用件とは」
 ワーグナーも彼に応えて話す。まだ疑っているようで何かが強張っていた。
「何でしょうか」
「それではです」
 ここでだ。男爵はまたあるものを出してきた。それは。
 ワーグナーは己の前に差し出されたそれを見てだ。こう言うのだった。
「小箱ですか」
「開けて下さい」
 男爵は小箱を開けるよう勧めてきた。
「どうぞ」
「そうですか。それでは」
 ワーグナーは彼の言葉に従い小箱を開けた。すると。
 そこから出て来たのはだ。銀線細工にルビーをあしらった指輪だった。それを見てだった。彼は息を飲まずにはいれなかった。
 その彼にだ。男爵はまた言ってきた。
「王からの贈り物です」
「この私にですか」
「御気に召されませんでしたか」
「いえ、滅相もない」
 不遜な彼がだ。今はおずおずとして答えるのだった。
「まさかこの様な」
「王は芸術を愛されます」
「芸術をですね」
「そうです。その中でも歌と」
 そしてであった。
「音楽を。舞台もです」
「その三つ共ですね」
「そしてその三つが一つになった」
「歌劇をですか」
「その歌劇の中でも最も素晴らしいものを作られる」
 男爵はワーグナーを見ていた。明らかにだ。
「貴方の才能を、いえ」
「いえ?」
「その全てをです。愛されています」
「だからこそですね」
「それはお受け取り下さい」
 遠慮なくとだ。男爵は述べた。
「そしてです」
「そしてとは。まだなのですか」
「是非ミュンヘンにいらして下さい」
 王に告げられた命ををだ。その彼に告げたのだった。
「これよりです」
「宜しいのですか。私は」
「革命のことですか」
「はい、それは」
「お気遣いなく」
 これがワーグナーへの返答だった。
「それは王が全て取り計らってくれます」
「バイエルン王
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