第四十八話 合格してその二十
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「悪いことによっては」
「先輩がそんな悪いことする人だっていうの?」
「ご本人のお話聞いたらそうですよ、言われた方は覚えてますから」
いつもの阿波野君とは違う言葉でした、口調こそいつもと同じ軽い感じですがその内容が随分ときついものでした。
「言った方は軽いつもりでも」
「相手はっていうのね」
「はい、覚えていて恨みますしね」
「言われた人の気になってみろってことなの」
「そうです、言ったことは返らないですしね」
こうも言う阿波野君でした。
「まして神殿で言ったんですよね」
「そう言っておられたわね」
確かにです、その言った場所も見ました。
「あの西の礼拝堂の入り口でね」
「階段の上から相手を見下ろして」
「その形になるわね」
「上から見下ろしてしかも神様の前でそんなこと言うなんて」
「駄目っていうのね」
「あと学校の正門で帰りに待ち伏せて聞こえる様に陰口言ったとか」
阿波野君はこのことも言いました。
「正しいって思って徹底的にやったんなら」
「徹底的にやられてもっていうのね」
「そうなりません?」
「ならないわよ、というかやられたから仕方ないっていうのは」
私にはない考えです、ですから阿波野君の言っていることが理解出来ないでそれで強い声で注意しました。
「自分も同じじゃない」
「そのやった相手と」
「そうよ、そんなことしたら」
「そうなります?まあそうなってもいいですよ」
「相手と同じになっても」
「だって僕は卑劣な人間ですから」
さっき言ったことをまた言う阿波野君でした。
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