第二章
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「あの屋敷に以前住んでいた爺の霊が出る」
「お年寄りのですね」
「そうだ、その爺が迷って出てだ」
老人は横柄なだけではなかった、汚い口調で二人に話した。織田も正岡もどうかと思いつつも老人の言葉を聞いていた。
「村人を襲っている、それで御前達が冒険者でしかも坊主がいるならだ」
「供養をですね」
「とっとと成仏させろ、そしてわしのことを言っておこう」
ここでこうも言った老人だった、自分自身のことも。
「わしの名は渡辺恒右衛門という」
「渡辺さんですか」
「この村の村長だ」
「村の村長さんですか」
「そうだ、代々な」
二人にふんぞり返って告げた。
「覚えておけ、いいな」
「はい」
織田は無意識のうちに声のトーンを落とした、そのうえで村長に答えた。
「わかりました、ではこれより」
「さっかと屋敷に入ってだ」
そしてと言うのだった。
「爺の亡霊を成仏させてやれ」
「わかりました」
織田が応えた、そしてだった。
二人は村長の依頼を受けることにした、だが村長が二人の前を去ってからだ。織田は正岡に怪訝な顔になって尋ねた。
「あの村長さんどう思われますか」
「あれは碌でもない奴ぜよ」
正岡は織田にこう答えた。
「どう考えてもぜよ」
「そうですね、目がやけに濁っていて」
「あれは悪人ぜよ」
「態度も悪いですし」
「ちょっと村の人に村長さんの評判聞くか」
「そうしましょう」
こうしてだった、二人はすぐに屋敷には向かわずに村人達から村長の評判を聞いた。
するとだ、二人の予想通りだった。
「最悪だよ」
「あんな金に汚い人はいないよ」
「しょっちゅう若い娘に妾になれって言うし」
「いつも威張り散らしていて」
「取り巻きに好き勝手してるし」
「取り巻きの伊藤照井助とか勝占米平とか清原和彦とか江尻権蔵とか最悪だしな」
「あいつ等はヤクザだよ」
取り巻き達も悪質だというのだ。
「早く別の村長さんになって欲しいよ」
「本当にそうだよな」
「あいつ何とかならないか」
「金に権力に女に」
「自分のことしか考えないから」
「最近じゃ変な弁護士までついてるしな」
「元木とかいう」
こうした評判だった、その評判を全て聞いてだった。織田は正岡に言った。
「どうもです」
「最悪な奴ぜよ」
「我々が思った通りですね」
「全く以てのう」
正岡もこう言った、二人は村の居酒屋で酒を飲みつつ話していた。尚織田は僧侶なので般若湯となっている。
肴の梅も食べつつだ、彼は織田に話した。
「あの村長の方がぜよ」
「何とかすべきですね」
「証拠はすぐに集まりそうじゃな」
「はい、それを集めて」
そしてとだ、織田も述べた。
「紀伊の知事さんにお話しますか」
「そうじゃのう」
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