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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
File1−裏デュエルコロシアム
ターン1 古生代不知火流、参る
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デュエルディスクは特別製でな。不完全な携帯式程度なら、妨害電波で無効にできちまうんだよ。さ、わかったら観念しな」
「妨害電波だと?まさかアンタ……デュエルポリス……」
「なんだ、制服まで着てきたのに気づかなかったのか?言ったろ、ゴミ処理業者だって」

 デュエルポリス。いまだ不完全な試作品である「BV」システムの脆弱性をついた妨害電波発生装置をデュエルディスクに組み込み、ソリッドビジョン実体化による物理的な危険を中和したうえでデュエルによって犯人の鎮圧を図る、人類に残された最後の切り札となりうる組織。
 もっともその性質上人員の大多数は「BV」の影響によりデュエルモンスターズが危険視された結果職を失った多数の元プロやその関係者により占められており、彼女に言わせれば『自分たちの馬鹿な研究のせいでくだらないシステムを作った挙句、その後始末に雇用対策の名目で何もしてないアタシらを、それも犯人鎮圧なんて一番危険な仕事に体よく駆り出した嫌味な組織』ということになる。
 恐れを込めた声色で放たれたその単語を彼女があっさりと肯定すると、闇の中から伝わる恐怖と狼狽がより一層激しくなる。そして彼女の経験から考えると、この後に考えられるパターンは大まかに分けて2つ。1つは完全に戦意喪失し、この場で自首に走る場合。彼女にとって楽ではあるが、その場合相手の評価に根性なしの一文が追加される。そしてもう1つは、それでも一縷の望みにかけて抵抗する場合だ。どうやらこのチンピラは、若さゆえの無謀さか後者を選ぶらしい。

「クソッタレ!だったらカードで勝負だ、アンタを倒して逃げ切ってやる!」

 やぶれかぶれになり、デュエルディスクをそのまま構える強盗。その仕草に好戦的な笑みを浮かべ、彼女もまた自身のデュエルディスクを起動した。

「仕方ねえな。コイツを吸い終わるまでの間なら、アタシも相手してやるさ」

 言葉とは裏腹に、彼女の声は明るい。仕事柄投降を勧めてはいたが、彼女は心の底から闘争に魅入られている。ただそれだけの理由ゆえに文句を言いつつも今の立場に居座り、煙草を吸い甘酒を飲み、こうして「BV」を手にしたことによる全能感からかくだらない犯罪に走るチンピラを締め上げ、時にはさらにその先にも手を出す女として敵味方から一目置かれているのだ。

「「デュエル!」」

 互いのデュエルディスクが同期し、それぞれランダムに選ばれた先行、そして後攻の文字が表示される。

「先攻はアタシか、なら遠慮なくやらせてもらうよ。来な、不知火の陰者(かげもの)!」

 不知火の陰者 攻500

 先手を取った糸巻が呼び出したのは、山伏衣装に身を包む人型のモンスター。手にした錫杖を地面に叩きつけると、その部分を中心に焔が円状の模様を描き始めた。

「そのまま、陰者
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