第五章
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「我等のことがとは」
「い、いや何でもない」
「何でもないぞ」
「言葉のあやだ」
「それに過ぎぬ」
「皆様の僧衣の間からも傷が見えるのもでしょうか」
幸田はまたカマをかけた、実は僧正の傷にしても実はない。しかしそれでもあえて仕掛ける為に言ったのだ。
「拙僧のあやですか」
「ち、違う」
「断じてだ」
「その様なことはない」
「何でもないぞ」
「証拠はあがっていますが」
三度目のカマだった、幸田はさらに攻めた。
「皆様がこの寺を乗っ取ろうという盗人一味ということは」
「くっ、そこまでか」
「そこまで調べているのか」
「既に」
「なら仕方ない」
僧正は観念した様な顔になって立ち上がった、そしてだった。
僧衣から刀を出した、そのうえで怪しい僧侶達全員に言った。
「この連中をどうにかしてだ」
「はい、いずれそうするつもりでしたし」
「それならですね」
「今ここで」
「僧正と一緒にだ、殺してしまえ」
「おっと、そうはいかねえぜ」
「そう来ると思ってたよ」
幸田と麻友も立ち上がった、そうして僧衣を剥ぎ取って元の姿に戻った。麻友は吸血鬼の顔も見せている。
「じゃあここはな」
「あたし達が相手をするよ」
二人はすぐに僧正達に跳びかかった、麻友は眠らせる術や動きを止める術を使い幸田は虎徹の峰打ちで次から次に気絶させていった、そうして瞬く間に怪しい僧侶達全員を動けなくし縛り上げてしまった。
その後で僧正達から術で自白させるとやはり寺の乗っ取りを企んでいた、彼等の正体は周防の山賊で賊に加わっていた禅宗の僧侶の入れ知恵によるものだった。
彼の考えに従いそっと寺の中に忍び込んで僧正を殺し森の中に埋めたうえで僧正と同じ種族でしかも同じ虎毛の山賊の首領が僧正になり代わってだ。
徐々に山賊達を引き入れて寺を乗っ取りその後は寺の観光や檀家の布施を牛耳ろうとしていたのだ。その話を全て聞いてだった。
幸田は麻友と共に僧正が埋められた場所を掘り出して僧正を術で復活させてから山賊達に吐かせて場所がわかった彼等の本拠地に山に警察や軍勢を送った。そうして一網打尽にしてだ。
山賊達は裁判の結果全員死罪か強制労働となった、こうして寺の件は終わり幸田達は生き返った僧正や聡明、他の僧侶達の感謝の言葉を受けてだった。
下関を後にしたがその幸田の手にだ。
一振りの刀が出た、その刀はというと。
「長船だな」
「備前長船だね」
「おう、凄い刀が手に入ったな」
「吉君の近藤さんの虎徹と同じで戦う神具だね」
「そうさ、それでな」
尚由香の虎徹は国定忠治の虎徹だ。同じ虎徹でも違うのだ。
「これからはこの刀も使ってな」
そうしてというのだ。
「おいらはやってくぜ」
「そうしていくね」
「ああ、それに試練
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