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西瓜合戦
第二章
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 その姿を見てだ、玲子は言った。
「逃げちまったな」
「はい、やっつけらませんでしたにゃ」
「ってことはな」
「また出て来ますにゃ」
「だよな、だったらな」
 それならとだ、玲子は弥生に述べた。
「西瓜を買うついでにな」
「大蛸のこともですにゃ」
「聞くか」
「そうしますにゃ」
 こう話してだった、二人は実際にだった。
 近くにいたノームの農民から西瓜を買ったうえでその西瓜を食いつつ大蛸について聞いた。するとノームの農民は彼も西瓜を食いつつ話した。
「困ってるんでさ」
「ああ、あの蛸にはか」
「いつも急に出てきましてね」
「西瓜を盗んでか」
「それで海に逃げるんで」
「そりゃ困るよな」
「今あっし等が一番困ってる泥棒でさあ」
 西瓜泥棒、それだというのだ。
「だからですよ」
「大蛸を何とかしたいんだな」
「そうでさあ」
「よし、じゃあな」 
 玲子は四分の一に切った西瓜を右手に持って豪快にかぶりつきながらそのうえで農民に対して答えた。
「あたし達がな」
「何とかしてくれますか」
「冒険者だからな」
 玲子は笑って素性を隠して答えた。
「それが仕事だからな」
「だからですね」
「ああ、任せておきな」
 玲子はまた農民に答えた。
「だからあんた達はな」
「はい、蛸のことはですね」
「任せておきな、絶対に西瓜泥棒を解決してやるからな」
「それでは」
「さて、それではですにゃ」
 弥生も西瓜を食べている、そのうえで農民に話した。
「暫くここに留まることになるかも知れないですにゃが」
「ご心配なく、宿もありますので」
「そこに泊まらせてもらって」
「宜しくお願いします」
 ノームの農民は弥生にも話した、こうしてだった。
 玲子と弥生は村の宿屋も紹介してもらって西瓜泥棒にあたることになった、玲子はその日の夜にだった。
 弥生と共に西瓜畑の中を歩きつつだ、彼女に話した。
「西瓜泥棒でも何でもな」
「泥棒といえばですにゃ」
「今日は昼間に見たけれどな」
 それでもというのだ。
「やっぱりな」
「夜に出ますにゃ」
「そうだよ、人目につきにくいからな」
 夜の闇に紛れ込んでだ。
「だからな」
「今ですにゃ」
「探してるんだよ」
「そういえば蛸は」
「ああ、夜行性だろ」
「そうでしたにゃ」
「だから余計にだよ」
 蛸のこの本質からもというのだ。
「あたしはな」
「夜にですにゃ」
「見回ってるんだよ、しかし蛸がな」
「西瓜泥棒とはですにゃ」
「やっぱりおかしいよな」
「私もそう思いますにゃ」
「わざわざ陸地まで出てな」
「蛸は西瓜を食べないですにゃ」
 このことをだ。弥生は強い声で語った。
「絶対に」
「そうだよ、それで何で西瓜なんて盗む
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