563部分:第三十三話 星はあらたにその八
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第三十三話 星はあらたにその八
「そしてまずは音楽を楽しんで下さい」
「タンホイザーの序曲をですね」
「この曲は貴方の為の曲です」
「私の為にあえてですか」
「演奏させています」
まさにそうだというのである。
「ですからどうか」
「はい、有り難うございます」
「ワーグナーは最高の芸術を生み出す者です」
王は赤や青の光に照らされる洞窟の中も見ながらだ。カインツに話すのだった。
「それでは貴方にはこれからです」
「これからですか」
「はい、朗読をお願いします」
「私の演じた役をでしょうか」
「それとワーグナーの作品の朗読を」
それもだというのだ。
「お願いします」
「わかりました。それでは」
こうした話をしてだった。カインツはワーグナーの音楽を聴いてからだ。そのうえでだ。王の間に行きそのうえでだ。彼は王の間でだ。朗読をしたのだった。
それを聞いてだった。王はだ。静かに言うのだった。
「見事です」
王の間だが玉座はない。そこに立っていながらだ。
彼はだ。こう言うのだった。
「貴方のその朗読はです」
「どうだったでしょうか」
「芸術です」
微笑みだ。賞賛の言葉を送る王だった。
「まさにそうです」
「そうですか。それは何よりです」
「この部屋を御覧下さい」
そのだ。王の間をだというのだ。
「この部屋についてどう思われますか」
「ロココでしょうか」
その部屋の中、白いカーテンと黄金の装飾で飾られ壮麗な宗教画まであるその美麗な部屋の中を見回してだ。カインツは答えた。
「そうした趣を感じますが」
「はい、ロココです」
カインツもそれだと述べる。
「それで間違いないでしょうか」
「そうです。これはロココです」
王もだ。その装飾はその通りだと答える。
そしてそのうえでだ。こうカインツに尋ねてきた。
「どう思われますか」
「ロココについてですね」
「はい、そのことについては」
「私はロココは嫌いではありません」
王が嘘を見抜きそれを好まないのを知っていたので。カインツは素直に答えた。
「豪奢ですね」
「装飾過多ではありませんね」
「装飾は芸術の一つです」
黄金に輝くその装飾、それを見ながら話すカインツだった。
「ですから」
「それは何よりです。ロココの他にもです」
「バロックですね」
「それもあります。そしてです」
「ワーグナー氏でしょうか」
「この城、いえその他の城も」
王が今築かせているだ。全ての城がだというのだ。
「モンサルヴァートなのですから」
「モンサルヴァート。確か」
「そうです。聖杯の城です」
ローエングリンがいたその城だ。その城を築いているというのである。
「その城をこの世に現しているのです」
「
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