562部分:第三十三話 星はあらたにその七
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第三十三話 星はあらたにその七
「そしてそのうえで、です」
「王の間でなのですか」
「貴方とじっくりお話したいからと」
「だからですか」
「はい、その為に」
彼と最初に洞窟で会い。それからだというのだ。
「それで宜しいでしょうか」
「わかりました」
カインツは真剣な顔でホルニヒの言葉に頷いて答えた。
「ではその様に」
「有り難うございます。それでは」
「洞窟。そこにも何かがあるのですね」
「それは来て頂ければわかります」
ホルニヒは今は洞窟について話さなかった。
「ではまずは」
「はい、それでは」
こうしてだった。カインツはホルニヒに案内されそのうえでその洞窟に入った。その洞窟の中を見てだ。カインツは目を瞠ることになった。
泉がありそこに白鳥達がいる。そして岩の壁には絵があった。
それは妖精達が愛の女神と共にいる。その絵はというと。
「ワーグナーですね」
「はい、タンホイザーです」
それだった。タンホイザーのヴェーヌスベルクの場面だった。
それを見てだ。カインツは言った。
「この洞窟自体がですね」
「はい、この洞窟はです」
「陛下がそうされたのでしょうか」
「陛下はワーグナー氏の音楽を愛されていますので」
このことは有名である。あまりにも。
「ですから」
「成程。そういうことですか」
「はい、そして」
ホルニヒはさらに言う。ここでだ。
彼は厳かな態度になりだ。こう言ったのである。
「陛下が来られます」
「今ですね」
「では宜しいですね」
「わかりました」
カインツも背筋を伸ばしそうしてだ。真剣な顔で述べる。
そしてそのうえでだ。彼は言うのだった。
「それでは」
「はい」
背筋を伸ばし姿勢を正しだ。王が来るのを待つのだった。やがてだ。
音楽が聴こえてきた。それはワーグナー、タンホイザーの序曲だった。演奏しているのは。
見えない、しかしそれでも聴こえてきていた。カインツには演奏しているのが誰なのかわかった。
「楽団ですね」
「はい、楽団です」
彼等が演奏しているとだ。ホルニヒも答える。
「彼等が演奏してくれています」
「そうですね。楽団がわざわざ」
あえて姿を見せないのも演出だった。そしてだ。
それを聴きながらだ。再びだった。
二人は王を待った。今度は赤や青の光が洞窟の中をゆっくりと動いてそれで洞窟の中を照らしていく。そしてその中でだ。
王が現れた。王は黄金の舟に乗りそのうえで湖の中を進んできていた。そのうえでだ。カインツの前に出て来て声をかけるのだった。
「ようこそ来られました」
「は、はい」
黒いだ。フロックコートと正装だった。その王が来たのだ。
カインツはその王に応える。そうしてだ。
舟
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