第三章
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「貴様が社を盗んだな」
「はあ!?何言うてるねん」
香菜はピクシーの言葉に声だけでなく表情も顰めさせて返した。
「何で私がそんなん盗むねん」
「嘘を吐け、紫の頭巾が何よりの証だ」
「あのな、うちはそんなんせんわ」
そこは断る香菜だった。
「盗みはせんのが私の主義や」
「ものは盗むんやなくて買うか自分で作れ」
佐藤もピクシーに言った。
「僕等おとんとおかんにいつも言われてきたわ」
「そやから盗みは絶対にせんわ」
「そのことは言うぞ」
「だから言ってるだろ、紫の頭巾こそがだ」
ピクシーは二人にさらに言った。
「何よりの証だと」
「あのな、何でそうなるねん」
香菜はピクシーに眉を顰めさせて返した。
「そもそも」
「そや、何でや」
佐藤もまた言った。
「紫頭巾が自分等の社盗んだ証になるねん」
「訳のわからんこと言うとあかんで」
「自分無茶言い過ぎやろ」
「そもそも私等ここのピクシーに会うのはじめてやで」
「ふん、嘘を言っていてもわかるぞ」
まだ言うピクシーだった。
「僕達の目は誤魔化せないぞ」
「めっちゃ簡単に誤魔化せそうやな」
「ほんまやな」
香菜は兄に顔を向けて言うと兄もこう返した。
「この連中な」
「ちょっと以上にな」
「目節穴過ぎるやろ」
「冗談抜きにな」
「しかし。色々と気になるな」
佐藤は香菜にあらためて言った。
「このピクシーに聞きたいことあるな」
「そやな、林檎食べながらな」
「色々話を聞くか」
「そうしよか」
「自分も食べるか?」
香菜はまだ自分が摘まんでいるピクシーにも問うた。
「林檎な」
「林檎はピクシーの大好物だぞ」
ピクシーはこう香菜に答えた。
「では一個買おう」
「自分が買うんか」
「ピクシーは自分のものは自分で買う」
香菜に強い声で答えた。
「そうする」
「そこ私等と同じやな」
「ふん、盗人が偉そうに言うな」
「そやからちゃうって言うやろ」
「まあまずは林檎食いながら話そな」
佐藤が香菜とピクシーの間に入った、そしてだった。
二人とピクシーはそれぞれの林檎を買ってそのうえで店の近くにあったベンチに座って話をはじめた、兄妹は自分達の間にピクシーを置いて彼の話を詳しく聞いた。
「そうか、自分等近くの森の奥に住んでるか」
「そこに村あってか」
「その社をいつも崇めてた」
「大事な社やねんな」
「そうだ、しかし御前達の話を聞くとだ」
ピクシーの名は大左衛門といった、姓は土田といった。
「本当に盗んでいないな」
「それ言ってたやろ」
香菜は大左衛門にむっとした顔で答えた。
「さっきから」
「そういえばさっきからな」
佐藤は自分達の周りを観つつ言った。
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