第一章
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天秤座の厄日
家でスマホの星占いを見て池田すみれはうわ、という顔になって母親に言った。
「お母さん、今日の私の運勢最悪なんだって」
「そうなの?」
「ええ、今日の天秤座はね」
すみれは天秤座だ、高校一年生で髪の毛は黒のショートヘアで大きな目を持つ小柄な少女だ。もう制服に着替えて学校に行こうとしているところだ。
「何から何まで最悪、友人とのトラブルに失敗に事故に思わぬ災害にって」
「不幸のオンパレードっていうのね」
「もう学校行きたくないわ」
「何言ってるのよ、不幸っていうのはお家でもあるのよ」
母は弱気になった娘に対してこの事実を告げた。
「普通にこけたり家事して怪我したりするでしょ」
「それを言ったらね」
「だからよ」
「お家にいても学校に行っても同じだっていうのね」
「しかも占いはあれよ」
スマホを自分の鞄に収めた娘に告げた、高校の鞄で校章も書かれている。紺色のブレザーと赤いリボンとスカートの制服がよく似合っている。
「当たるも八卦、当たらぬも八卦っていうでしょ」
「だからなの」
「そんなに不安だったらお守り持っていって用心に傘もよ」
「傘もなの」
「そう、突然の災害っていうと通り雨が定番だから」
それでというのだ。
「それも持って行きなさい、あとスマホやお財布にはチェーンを付けて」
「落とさない様にね」
「定期入れもね」
こちらにもというのだ。
「あと時間があったら忘れもののチェックもしなさい、それと今日は怒らないことを心掛ける」
このこともというのだ。
「いいわね」
「何か厳重ね」
「運勢最悪っていうのなら心掛けることよ」
そうしろというのだ。
「信号はちゃんと見て電車やバスに遅れない様に時間をちゃんと見て動く、いいわね」
「何かいつも通りのことと言えばそうだけれど」
「それでもよ、そうして気をつけていけば」
それでというのだ。
「不幸はかなり減る筈よ」
「そうかしら」
「そうよ、じゃあいいわね」
「まずは忘れものをチェックして」
すみれはあれこれ言う母の言葉に頷いた、母は今は父が食事を食べているのを無言で見ている。そうして夫の健康状態を見ているのだ。
「お財布とかにチェーン付けて」
「傘もよ、折り畳み持って行きなさい」
「ええ、そうするわね」
「それと今日は寒いから」
母は娘にさらに言った。
「ブラウスの上にセーター着てストッキングは二枚重ねにしない」
「厚着ね」
「そう、いいわね」
「ええ、それじゃあ」
「あと身を護る為にこれもね」
母は夫の食べる勢いがいいことに無言で頷いてから娘にあるものを差し出した、それは警棒とスタンガンだった。
「いいわね」
「変な人にはなのね」
「こ
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