第6章:束の間の期間
第187話「抉られる心」
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い理由があった。
それをリンディは尋ねる。
「一言で言えば、“調子に乗った”からね。当時の日本の人間は、途中が優勢だったのもあって本当に醜く調子に乗っていたわ」
「だから、神々は人間を見放したんだ。……ううん、神々だけじゃなく、当時生き残っていた式姫もね」
「式姫も……?」
今度は澄紀も聞き返した。
陰陽師の家系として気になったのだろう。
「子供とかを個人的に助けたいと思った式姫は戦ったらしいけどね。あ、これは蓮に聞いた話よ。当時の私達は既に山に籠ってたから」
「皆が皆、勝ちを疑わずに命を散らすのは……見てられなかったよ」
優勢であれば調子に乗り、負けを認める最後まで戦火に命を散らし続けた。
自国の勝ちを疑わず、命を投げ捨てる事さえ誉れと思い特攻していく人たちを、神々も式姫も見ていられなかったのだ。
「人は、善にも悪にも簡単に偏る」
「悪になれば……そうでなくとも、失望されるような事をすれば、神々も式姫も当然のように人を見捨てるよ」
「そんな……!」
「……だって、よく言うでしょ?“神は気まぐれだ”なんて」
葵の放ったその言葉に、澄紀は押し黙る。
結局は、人は神を都合よく見ている節があるのだと、再認識させられたからだ。
「……なんだか、話がずれていったわね。要するに、今回も同じなのよ。もし、政府の人間が私達にとって身勝手な……理不尽な選択を取れば……」
「……見放す、という訳か」
「そういうこと。……あぁ、今回は大丈夫だけど、貴方達管理局も例外じゃないわよ?というか、既に上層部の怪しい部分が野放しになっているのは減点ね」
「っ……!」
自分達も見放されるかもしれない。
そんな考えが浮かんで、クロノは言葉を詰まらせる。
「もし、椿達が……もしくは神々が見放せば、今度こそ日本を守る抑止力はなくなる。守りたい存在だけしか守らなくなる。突飛な話だけどな」
「そんな……!」
「……忘れないで。状況や事情によって私達は人の味方に立っているけど、その実、中立の立場よ。全面的に味方するだなんて、思わない事ね」
椿はそう冷たく言い放った。
今回でこそ、式姫として幽世の大門については解決しなければならなかった。
だが、もし式姫達を貶めるような選択をすれば、今度は手助けされる事はないのだ。
「……自分で勝手に信じなくなって、いざ存在が露見すれば都合よく扱う。……そんな事、させる訳ないじゃない」
「……どういう、事だ?」
「式姫も神々も共通している事だけど、伝承や逸話の存在と、何よりも信じられなければ存在や力を保つのは難しい」
「優輝の言う通りよ。江戸時代から現代に至るまでに、ほとんどの神々と式姫
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