第6章:束の間の期間
第187話「抉られる心」
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最終的な判断は上層部によって決められるでしょうけど、私個人としては……どちらに転んでもあまり変わらないわ」
「リンディと意見は同じね。私も、あまり変わらないと思っているわ」
リンディもレティも“気にしない”と答える。
実際、管理局としてはあまり痛手ではないからだ。
魔法技術を地球に提供したとしても、地球で魔法を扱えるのはごく僅かしかいない。そのために、技術を100%利用される事もない。
むしろ、これからは地球で魔法を秘匿する必要がないという利点まであった。
「……まぁ、細かい事はそちらに任せるわ」
「いいのか?そのつもりがないとはいえ、上手く行かなければ君達にも今後の生活に大きな影響を与える事になるぞ?」
「そうでしょうね。でも、構わないわ」
あっさりと、椿はそう言ってのけた。
「大体、さっきも言っていた通り向こうは今回の出来事を本当に理解できていないのよ」
「そうだねー。開いた発端は確かにロストロギアだけど、幽世の大門は元々日本にあったものだし、それも伝えたはずなんだけどねー」
幽世の大門がなければ今回の事件は起きなかった。
事実、解析した優輝以外誰も知らない事だが、パンドラの箱の効果範囲はそこまで広くない。大門があった位置が運悪く範囲内だっただけなのだ。
「向こうも責任云々で調子に乗らず、純粋に一般人の心配や支援を口にすればよかったのに。それを顧みずにこちらを利用出来そうだと企んじゃって」
「やっぱり、“良い人間”が偶然身近に集まってただけなんだね」
呆れたようにそんな事を口にする椿と葵。
だが、その内容にリンディ達はどこか嫌なモノを感じていた。
「……何をする気なんだ?」
「いえ?“何もしない”わよ」
「人は変わらないねぇ。数十年前の戦争と同じだよ」
クロノが尋ねるが、二人ははぐらかすように言う。
代わりに、優輝が気づく。
「……因果応報、自業自得、か」
「あら、気づいた?」
「優ちゃんが気づいたなら、あっさりネタばらししそうだね」
「そうね。せっかくだから順に教えていくわ」
椿と葵は、改めてクロノ達に向き直る。
傍で聞いていた澄紀も、聞いておくべきだと判断して耳を傾ける。
「まず、日本には八百万の神がいたと伝えられているわ。実際、そう言われる程の数、神々は存在していたわ。……でも、どうしてそんな神はいたのに、かつて戦争の時は手助けしなかったと思う?」
「……考えられるのは……手助けする理由がなかった。もしくは、その逆で手助けしない理由があったから……か?」
「ご明察。他にも理由はあるけど、今重要なのは、後者ね」
「それは一体……?」
戦争において手助けしな
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