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おぢばにおかえり
第四十八話 合格してその十六

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「その時はいいことをしているつもりでもね」
「後になってですか」
「自分が嫌な、残酷な人間だってわかる時もあるし」
「悪い奴をやっつけていると思ってもね」
「意地悪になっていたりするのよ」
「そうなんですね」
「だからちっちも気をつけてね」
 私にそんなことをしない様に言ってくれました。
「そうしてね」
「はい、本当に気をつけます」
「ちっちなら大丈夫だって思うけれど」
「いえ、私も」 
 自分では自信がなくてこう答えました。
「そうしたことを」
「やりそうなの」
「気をつけます」
 自分で自分がわからないこともあります、気付かないうちにって思うとどうしても自信を持てませんでした。
「そうします」
「そうしてね」
「僕だとそんなことされたらずっと根に持ちますね」
 阿波野君は真顔で言ってきました。
「正直に言いまして」
「ちょっと、先輩のお話を聞いてたら」
 私は前から聞いていましたがこのお話はどうやら先輩ご自身のことみたいです、先輩がそんなことをする残酷な人にはとても思えないですけれど。それで阿波野君にすぐに囁きました、
「ちょっと」
「いえ、本当に思いますから」
「それで言うの?」
「僕の気持ちってことで」
 それで言うというのです。
「お話するんですが」
「だからそんなことは言わないの」 
 阿波野君にまた注意しました。
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