暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第17話 知ってしまった想い
[4/4]
[8]
前話
[9]
前
最初
[1]
後書き
[2]
次話
く、その約束が音となってフローラの口から遂行されていた。
「ただいま、フォンバレンくん」
「……おかえり、スプリンコートさん」
言葉そのものは温かかった。静かな場所に響き渡る声はスッと耳から入り、そしてエースの心に伝わった。
見るならばもう少し意識のはっきりとした時間に見たいと思わせるような、綺麗な笑顔で挨拶を口にするフローラ。彼女に一切他意はないだろう。そういう意地の悪いことをする人間ではないことは、長い付き合いで熟知している。裏がない人間だ。そもそもエースの心の内など、知ることが出来るはずもない。
それでも、八つ当たりだとしても、この時少しだけ、エースは『ただいま』の4文字を恨んだ。
悪意の一切ない、ある意味最凶の刃は、入り込んだ途端に急激に温度を下げて心へと突き刺さったからだ。
──もし、この世界に疎まれなければ……この先こんな風に言いあえる時間が、あったかもしれない
そんな想いになった理由は1つ。
自分のフローラに対する想いがどれほどのものなのか、それを今この瞬間にきちんと感じ取ってしまったからだ。分かっていても向き合ってはいけなかった自分の気持ちを、エースは確かに感じてしまった。
世界が作り出した見えない壁は、確かにそこに存在していた。目の前の大切な人は、手を伸ばせば届きそうで、しかし絶対に届かない場所にいる気がした。
だがそれを知ったところで、いつもと同じようにして1日が始まっていくことに変わりはない。今日もまた世界は、何事もなかったかのように時計を動かすのだから。
[8]
前話
[9]
前
最初
[1]
後書き
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ