暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第16話 乙女たちの話し合い
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
選び、その中からさらに選りすぐっていく。決断の早いセレシアなので、5分後にはフローラの着せ替えタイムは終わりを告げていた。

「ほい、こんな感じでどーでしょうか?」

「うん、ばっちりです」

 そういうフローラの目の前の鏡の中には、先ほどのパジャマ姿と違って十分に着飾られた自身の姿があった。いつものカチューシャは今回使わず、黄緑色のシャツワンピースを身に纏っている。

 身に纏う衣服の重さにつられて、身も軽くなった感覚すらある。

「よーしじゃあ、出かけよっか」

「せめてその前に歯を磨かせて? 外行きの準備、まだ身なりしかしてないから……」

「あ、そうだった……。じゃあ、入り口で待ってるわね。急かしちゃったから、ごゆっくりどうぞー」

 フローラが一切外行きの準備を済ませていなかったことを失念していたセレシア。そう言ってそのまま外へと出ていく後ろ姿を、フローラはしっかりと数秒見た後、洗面所へ向かうのだった。






* * * * * * *






「うー……。もう少し快適な温度だったら、最高な1日になりそうなのになぁ……」

「そうだね……。ちょっと暑すぎるかも……」

 時と場所は移り変わり、昼前の街中。夏手前の暑さに少し難儀しながら、2人は街を賑わせている人混みの中を歩いていた。

「こんな時フォンバレンくんいたらなー。氷属性便利そう」

「確かにそう思う。本人に言ったら、文句言われそうだけどね」

「そうね。でも、『俺は暑さしのぎの道具じゃないんだけど』って言いながらしてくれそう」

 今はいない人物の会話を、歩きながらする2人。

 それからほとんど間を置かずして、腹部から正直すぎる重低音が鳴り響く。セレシアとフローラはそれが何なのかを理解した後、互いに顔を見合わせて笑った。

「これから出歩こうかと思ったけど、さすがに胃袋は正直だったみたいね。混まないうちにお昼済ませよっか。いつものお店でいい?」

「うん。大丈夫だよ」

 出歩く予定だった2人が予定を変更して向かったのは、とある飲食店。1つ1つの座席に対してすべて個室制をとっているため秘密の話をするには持って来いの店である。

 セレシアとフローラは、ここの店の常連客に近いので店員ともそれなりに顔馴染みだ。

「いらっしゃ――おっと、セレシアちゃんにフローラちゃん、今日はうちで食べてってくれるの?」

「はい。いつものお部屋、空いてます?」

「空いてるけど、さっき空いたばっかの部屋だからな。ちょっと確認するから、おじさんについてきてくれ」

 その中で最も親しく話してくれるこの店員は、親戚ではないがセレシアの母親が結婚前に学校で教師をしていた時の教え子だそう
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ