純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 13
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て】
「お茶と菓子を出したっきり誰も来ないな。忙しいんじゃなかったのか? 俺、ここに居る意味ある?」
裏事情など知る由もないセーウル王子の率直な疑問に。
ミートリッテは一瞬、言葉を失った。
祭事の最中だけど責任者はお茶を啜っててくださいと言われれば確かに、何の為の代理なんだろう? と思われても仕方ない。
しかし、彼は教会外の人間だ。それも、政治に直接関わっている王族。
立場上、信仰内部の重要資料などに触れさせるわけにはいかない。
プリシラがセーウル王子に求めているのは、教会の責任者代理ではなく、教会を空けても国の重役が見ているからな、という対外的な関係性誇示と、アリア信仰の現上層部に反感を持っている信徒達への圧力。
そして、セーウル王子に仕える騎士団員による、祭事の準備補助。
王子当人には、決して、見張り役以上の実務をさせてはいけないのだ。
「殿下のお手を煩わせない為に、皆が必死で頑張ってくれているんですよ。殿下がここに居てくださるからこそじゃないですか」
引き受けてくださってありがたいです、と上っ面で笑うミートリッテ。
内では常に心臓バクバクだ。
いつ「暇だから俺も何か手伝ってくる」と言い出すか。
その善意が、同じ階に隠れている女神達にどんな影響をもたらすか。
気が気でない。
(政界慣れしてる人相手に秘密を守り抜けとか、何の罰なのこれ……っ! 私も孤児院に行きたかったです、プリシラ様あーっ!)
第一補佐の部屋に移り住んでから、一年未満。
圧倒的経験不足を痛感しながら、それでもなんとか笑顔の仮面を貼り付け続けるミートリッテ。
実のところ、彼女もまた、プリシラの采配によって信徒達の士気発揚係を与えられつつ、秘密厳守以上の厄介事から保護されていたのだが。
その事実を知るのは、これから数日後の話。
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