暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第14話 望まない再会
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ことになっていた。つまりあの時セレシアが屋上に来たのは偶然ではなく、何でもない当たり前のことだった。

「今回もそれと同じなのかな……?」

「分からないけど、やってみる価値はありそう。あたしあっためるから、フローラは扉開けるのをお願い」

「分かった」

 そんな最初の遭遇の時とほぼ同じようにセレシアが扉の下の方に手をかけてあっためる体勢をとり、今回はエースではなくフローラが扉の取っ手に手をかける。力は間違いなくフローラが劣っているが、元々正常な状態の戸を引くのに力はほとんど要らないのだから問題はない。

「じゃあいくよー」

「はーい」

 セレシアの合図と共にフローラが力いっぱい引っ張る。非力なこともあって最初はびくともしなかったが、温められたことで少しずつ融解していったのかゆっくりながらも扉が動き出した。

「「開いたー!」」

 そして数分後、ついに扉が開ききった時には思わず声をあげていた。

「……あれ?」

「何もないね……」

 その奥に開けた屋上の光景には、何もなかった。ただ屋上の開けっ広げな光景が広がるのみ。床の灰色も、ベンチの配置も、何一つ変わっていない。数日前の小さな戦闘の跡もない。

 だが、その景色を見るがままに感じることが出来たのは、ほんの少しの間だけだった。

「うわぁぁぁっ!!」

 直後、男子生徒の悲鳴が籠ったような音で聞こえて来た。

 その反響の仕方から、今の自分たちからは見えない場所にいることを悟った2人。屋上へと出てすぐに左に2回曲がり、室内からではすぐには見ることの出来ない扉の反対側のスペースまで来る。

「エアードくん!?」

「あ、フローラさん……助けてください!」

 そこにいたのは、必死の形相でこちらへと助けを求めるエアードと、3日前に見たものと同じローブ姿だった。フードの下の仮面の奥からは、間違いなくこちらを見ているだろう。

「フローラ、バックお願い」

「分かった」

 セレシアはそれを見てすぐさま臨戦態勢に入った。屋上なので、地面にさえぶつけなければ魔法の使用に制限はないと言っていい。制約の多くなる森や市街地よりは強めの力でいけるので、自然と力が入る。


 しかし、セレシアのそのやる気を嘲笑うかのように、相手は地面に何かを叩きつけた。

 次の瞬間には、眩い光が辺り一帯を覆った。

「きゃっ!?」

 いきなりだったために全く対応できず、ローブ姿の人間以外のその場にいた人全員が視界を奪われた。

 相手の出方が見えないこの状態は、全員にとって非常にマズい。セレシアはどの方角からでも大丈夫なように身構えるが、そもそも見えないのだから対処に限界がある。おまけに当初狙われていたエアードの安否も
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