第八十四話 ローマに戻りその六
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「俺も出来ることはするしな」
「いえ、あなたはあなたのお仕事に」
ハンナは夫の言葉にすぐに真面目な声で返した。
「専念して下さい」
「家のことはいいのかよ」
「はい、あなたは大きな仕事をされます」
「だからか」
「それは大きなことなので」
それ故にというのだ。
「それに専念しなければなりません」
「だからか」
「余分なお力はです」
それはというのだ。
「注がれない方がいいです」
「それでなんだな」
「あなたは世界を救うことに専念されて下さい」
ローマ、そしてこの街をというのだ。
「そうされて下さい」
「そうか、しかしな」
「それでもですか」
「俺は仕事人間ってな」
仕事にしか興味がない、そんな人間にはというのだ。
「なりたくないからな」
「家庭もですね」
「大事にしたいからな」
「だからですか」
「本当に家のこともな」
そちらもというのだ。
「出来る限りさせてもらうな、それにな」
「それにとは」
「ああ、若しもだよ」
それこそというのだ。
「仕事ばかりだともう気が滅入るだろ」
「寝ても起きてもお仕事で」
「そんな人何処で気を抜いてるんだよ」
そこでとだ、首を傾げさせてそうして言う久志だった。
「大体」
「仕事で、ではないでござるか」
進太がこう言ってきた。
「そうでないでござるか」
「仕事の息抜きを仕事でかよ」
「嫌いな仕事でストレスを溜めて好きな仕事でストレスを解消する」
「どんな生活だよ、そんなのな」
それこそと言う久志だった。
「俺は絶対に無理だな」
「アルバイトをしていて仕事のことしか言わない人もいるでござるよ」
「完全に仕事のことしか頭にないんだな」
「はい、体育会系あがりに多いでござるな」
そこから社会に入った人間はというのだ。
「頭の中は仕事しかなく」
「家庭のことは顧みないか」
「勿論体育会系でもそうした人ばかりではないでござるが」
「人それぞれか」
「そうでござるがどうもでござる」
「体育会系ってのはか」
「拙者のアルバイト先、スーパーでいるでござる」
頭の中が仕事しかない様な人物がというのだ。
「趣味は仕事、生きがいは仕事、人生は仕事と」
「本当に仕事しかないか」
「そうした人は仕事がなくなるとでござる」
「怖いな」
「もう何もなくなるでござるからな」
「俺そういうの本当に駄目だからな」
「家庭もでござるか」
「大事にしたいな、あとこの屋敷部屋何十もあるから皆好きな部屋使ってくれ」
久志は進太との話を終えてあらためて話した。
「何処でもな、あと風呂は二十四時間入られるぜ、男女共にあってサウナも完備だ」
「妙に凝ってるわね」
双葉は久志の今の言葉にすぐに突っ込みを入れた。
「
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