545部分:第三十二話 遥かな昔からその六
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第三十二話 遥かな昔からその六
「やはり下の食堂から早く運ばれると味が違う」
「それだけで、ですね」
「そうだ。違う」
まさにそうだというのだ。
「三階下だと人が運んではどうしても冷めてしまう」
「はい、確かに」
「しかしエレベーターを使うとだ」
これも最新技術だ。王が注目している。
「すぐに運べる。それにだ」
「食器も温めているからですね」
「余計にいい」
そうしただ。温めた食器に乗せた食事を最新の技術で運ばせる。それがなのだ。王にとっては非常に満足のいく、まさに芸術となっているのである。
その芸術の美食をだ。王は楽しみながら述べるのだった。
「私の考えは間違ってはいなかった」
「それは何よりです」
「うむ。非常にいい」
王は満足した顔でまた言った。
「その他にも様々な技術を取り入れているが」
「そうですね。他にも」
調理器具にもだ。様々なものを取り入れてさせたのだ。そしてその食事を楽しんでいたのだ。王の周りには今はガスの灯りが灯ってもいる。
その灯りも見てだ。王は言う。
「新しいものは取り入れていくべきだ」
「それが人を幸せにするからですね」
「そうだ。このノイシュヴァンシュタイン城にしてもだ」
このだ。白い城もだというのだ。
「あらゆる最新のものを取り入れて理想のものにしたい」
「食事だけではなくですね」
「そうだ。あらゆることについてだ」
そうすると言いながら食事、そしてワインも楽しみ。
王はホルニヒにだ。こんなことも述べた。
「ではこれからはだ」
「外に出られるのですね」
「そうだ。そうしたい」
日課にもなっているそれをしたいというのだ。
「馬車を出してくれ」
「わかりました。では御者達に伝えておきます」
「それとだ」
さらにだった。
「彼等の帽子は。わかっているな」
「三角帽子ですね」
「私が言った様にな」
フランス風の三角帽子を被り着飾った彼等の馬車に乗ってだというのだ。
「そのうえで月を見よう」
「畏まりました」
こうしてだった。食事の後でだ。
王は城を出て馬車に乗る。そのうえでその夜の世界を楽しむ。そうした日々を送る様になっていた。
だが王は王であり政治と関わり続けていた。この日もだった。
閣僚達と会議をする必要があった。問題はその場所だ。
閣僚達は周りを見回しながら戸惑いを隠せなかった。それでそれぞれ言うのだった。
「これはまた」
「どう言っていいのか」
「まさかこの様な場所で閣議とか」
「陛下はどう御考えなのか」
「いや、これも何かあってのことでしょう」
ここでこう言ったのは首相のルッツだった。
「ですからここはです」
「こうしてここで、ですね」
「我々は閣議を行う」
「そう
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