第四章
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「依頼のことが」
「ちょっとな、すぐにわかるわ」
「そうですか」
「ああ、それで親父さんはあれか」
山本は気付いていた、井伏もだ。二人共それで目を無意識のうちに鋭くさせていたが山本はその目で少年に尋ねた。
「街の魔術師でこの前までこの呉をところ払いされとったな」
「そ、その通りです」
少年は山本の言葉に驚きつつ答えた。
「よくおわかりですね」
「このこともすぐにわかる、妹さんの名前は通さんじゃな」
「僕は健吉といいます」
「それでそのおお通さんが今は呉におるか」
「情報は聞いていますが」
「やっぱりのう、けれど見掛けたって話は聞いてもじゃな」
「これが全くいないんです」
少年は山本に困り果てた顔で答えた。
「見掛けたという話ばかりで」
「そうじゃろうな、やっぱり」
「やっぱりっていいますと」
「あんたと今会ってわかった、ほなじゃ」
「ああ、今から親父さんのところに行くぞ」
井伏も言った、そうしてだった。
二人は少年を連れて兄妹の家即ち親父がいる場所に行った、そのうえで山本は夜なのでもう閉められている店の扉を叩いて中にいる親父に言った。
「わかったから来たわ、これでわかるのう」
「あ、あの」
「心配すんな、死罪にはならん」
山本は店の中から怯えた声を出した親父にこのことは保障した。
だがそれと共にだ、彼にこうも言うことを忘れなかった。
「しかし逃げれば追ってじゃ」
「そしてですか」
「わかるのう」
「は、はい。それでは」
親父は怯えた声のまま頷いてだ、そうしてだった。
店を開けて観念した顔で二人そして少年を案内した、そのうえで三人を店の中の居間和風のそれに案した。
山本は案内され座布団の上に座るとすぐに親父に言った。
「実は双子は同じやろ」
「そ、それは」
「昼には妹、夜には兄じゃな」
親父を見据えて言った。
「そうじゃな、お互いに同じ街にいても絶対に会わん」
「これはどういうことかじゃな」
井伏も言ってきた。
「一体」
「ここまで言うたらわかるのう」
山本はあらためて親父に目を向けて問うた。
「わしは桜吹雪は出すことはないが」
「はい、それは」
親父も観念した、そのうえで山本達に応えた。少年は今はただ聞いているだけだった。
「実は二人の人の心と身体を合体させることは出来ないかと思いまして」
「それでか」
「はい、ところ払いを言われて博多にいましたが」
「博多からでした」
少年もここで言った。
「あそこにいた時からです」
「妹さんがじゃな」
「いなくなりました」
少年もこう答えた。
「丁度」
「私はところ払いを受けてそこにいまして」
「相変わらずのことをしておってか」
「それで丁度二人がいたので」
子供達つ
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