第二章
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二人共牡蠣をそれぞれ百個は食べた、そうして食べ終わってからだった。勘定を払って店を出た時にだった。
一人のフェアリーの少女が飛んで来た、可愛らしい外見で赤の髪の毛と銀色の目が将来の美貌を感じさせる。服は町娘のものだ。
その少女がアゲハ蝶の羽根で飛びつつ山本達に声をかけてきた。
「あの、山本さんですよね」
「そうじゃが」
山本はフェアリーの娘に応えた。
「用があって声をかけてきたんじゃな」
「はい、お願いがあるんですが」
「何じゃ、それは」
「はい、それは」
娘が話そうとした時にだ、井伏が言ってきた。
「場所を変えるか」
「場所をですか」
「茶店に入ってじゃ」
そうしてというのだ。
「紅葉饅頭とお茶でも楽しみながら話をするか」
「そうじゃな」
山本も同意して頷いた。
「ではじゃ」
「ああ、それで話を聞くぞ」
「ほなな」
二人で話してだ、そしてだった。
二人は娘を丁度目に入った茶店に入れてだ、娘の話を聞いた。娘の名前はお通といいそれで言うのだった。
「実は私には兄ちゃんがいまして」
「その兄さんを探してるんじゃな」
山本は茶を飲みつつ娘に応えた。
「そうじゃな」
「はい、兄ちゃんとは双子で」
「そうか、それで仲がよくてか」
「それで生き別れになってしまったので」
「探してるんじゃな」
「安芸の隅から隅まで、呉で生まれ育ったので」
「この呉にか」
山本はお通の切実な言葉を聞いて述べた。
「戻ってきたか」
「ここにもと思いまして。行く先々で兄ちゃんを観たという話を聞いています」
「そうか。ではじゃ」
山本は娘に落ち着いた目で尋ねた。
「あんたのお兄さんの外見はどんなのじゃ」
「はい、赤い髪の毛で銀色の目です」
娘は自分と同じ特徴を出した。
「私と同じ」
「それでアゲハ蝶の羽根か」
「そうです」
「フェアリーでそれは目立つのう」
井伏もここまで聞いて述べた。
「ほんまにな」
「そう思われますよね」
「ああ、あんたのその赤い髪の毛と銀色の目の組み合わせはかなり目立つ」
「特にここは日本じゃ」
山本はまた言った、その隣では井伏が紅葉饅頭を食べはじめている。
「フェアリーも黒い髪の毛と目が多い」
「わしもそう思ってまして」
娘はついつい広島弁を出して話した。
「それで」
「楽に見つかるとか」
「そう思ってたんじゃな」
「それがです」
「全く見つからんか」
「行く先々で兄ちゃんを見たって言われますが」
「そうか、ほなわし等でじゃ」
山本は娘のその赤い髪の毛と銀色の目を見つつ述べた。
「兄ちゃんを探してじゃ」
「そうしてですか」
「あんたに会わせたる、約束するけんのお」
「それなら」
「任せておくんじゃ」
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