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永遠の謎
542部分:第三十二話 遥かな昔からその三
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第三十二話 遥かな昔からその三

「それは幸せなことだ」
「御一人で、ですか」
「科学でそうしたことができれば」
 どうかというのだ。王は。
「私は幸せになれるが」
「ですがそれは」
「できない。科学はより進歩して欲しい」
 それが王の望みでもあった。
「私だけでなく多くの者も幸せにしてくれるのだからな」
「少なくとも陛下は」
「アルプスの上も飛びたい」
 王はこの夢も語った。
「そして一人で観劇もしたい」
「ではその時を待ちましょう」
 ホルニヒは王を気遣いながら述べた。
「陛下の望まれるその時を」
「そうなることを望む」
 そんな話をしながらだ。王は深夜の一人の観劇を行っていた。
 それが終わると王宮に戻り。夜に生き朝に休む。昼は眠っていた。
 完全に夜に生きる様になっていた。そのうえだ。
 アルプスに行くことが多くなった。王の愛するそこにだ。
 そのことにだ。宮中は戸惑いを覚えていた。
「陛下はまたか」
「アルプスに行かれているのか」
「また御会いするのが大変だな」
「一体何処におられるのだ」
「ノイシュヴァンシュタインだな」 
 そこだとだ。ホルンシュタインがその宮中の者達に述べた。
 そのうえでだ。こう彼等に告げた。
「今すぐそこに人をやることだ」
「はい、わかりました」
「それでは」
「困ったことになってきたな」
 悩む顔になってだ。ホルンシュタインは述べる。
「陛下は」
「近頃どうもです」
「陛下は変わられました」
「いつも夜に過ごされる様になりました」
「昼には眠られています」
「そして夜に外に出られます」
「御一人での観劇といい」
 宮中の者達も心配する顔で話していく。その王について。
「何か閉鎖的になっておられます」
「孤独になられているというか」
「そして殆どアルプスにおられるようになっています」
「築城に没頭されています」
「あの城に」
「それが問題だ」
 ホルンシュタインもだ。危惧する顔になって彼等に述べた。
「今の陛下は個人での観劇といいその築城といいだ」
「はい、浪費されています」
「ワーグナー氏はバイロイトに去られそれであの御仁に関する浪費は抑えられましたが」
 だがそれでもだった。ワーグナーに関する浪費が止まってもだ。
「ですがここで、です」
「築城に観劇です」
「そうしたことに没頭されてです」
「かろうじて国政へのサインはしてくれますが」
「そうだな。それはな」
 しかしだ。人前に出ることはだというのだ。
 そのことについてだ。ホルンシュタインは言うのである。
「だが。こうも人前に出られなくなると」
「臣民達が心配します」
「諸国も不穏に思います」
「ですからこのままでは」
「よくありませ
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