一匹狼っていうけどそもそも狼は群れる生き物だと知識人アピしてマウント取るのもどうかと思う。って短編
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来たことを背中に乗せた首なし男が告げる。化物退治に人間どもが、おっとり刀で駆け付けたらしい。金属の鎧に身を包み、金属の筒で身を守る脆弱な人間たち。貴様らも殺してやる。
人間の武器に見慣れているロボにとってそれは特別な脅威でもない。
化物の化物たる由縁を教えてやる、と襲撃し――再度、驚愕した。
スペック負けしている。
時速200キロで走行できる足がさしたる優位とならない。キメラを一撃で噛み砕く咬合力を以てして、鉄鎧が容易には噛み千切れない。ヘシアンの援護で数人殺せば連携は崩れると考えたが、同胞の死など見るにも値しないとばかりに夥しい弾丸を叩き込んでくる。死と恐怖などとうに克服したとばかりに、狂戦士の如く彼らはワイルドハントを続けた。
特に驚いたのが弾丸の威力だ。多少は身体で受け止めてでも攻撃をしようと考えたのが大きな間違いで、その威力は新宿の武装兵士『雀蜂』のそれとは比べ物にならない程の威力で肉体を破壊してきた。
自らの過ちと思い上がりを、悟らざるを得なかった。
英霊の力、幻霊の力を得て自らが人間を鏖殺する側の存在になったと思いあがった。
本来ならば、これが当然なのだ。
英霊の力を手に入れたから兵器が効かない。
幻獣になったから人間に負けない。
そんなまやかしをアテにした己の愚かしさを呪った。
生前の自分ならもっと狡猾に隙なく立ち回れていた筈だ。
なのに、なまじ力を得たばかりにこの体たらくだ。
逃げて態勢を立て直さなければならなかった。
傷だらけの体を引き摺って逃走し、警察の追撃を振り切って町の闇へと姿を隠した。
化物ロボではなく、これは狼だったころのロボの行動。
微かな郷愁と自重を抱え、ロボは摩天楼の狭間に姿を消した。
殺害できたのは僅か数十名。この町で発生するドンパチの中では『軽犯罪』と言って差し支えない、極めて小規模な事件。おまけに当時のHL市民の感覚としては「英霊は基本人型」であり、ロボはどこぞの実験魔獣が暴れたものと考えられた。
故にそれはHLを駆け回る膨大な情報の低優先度の問題として扱われ、埋没していった。
= =
「グルルルルル……」
「………………」
チェイン・皇がその生物を発見したのは、いつものように街の高所を跳躍しながら情報収集をしている最中だった。何もない場所に感じた気配を見ていると、そこから突然巨大な狼が現れたのだ。どうやら自らの姿を透過させる術を持っていたらしいが、こちらが気付いたと判断して透過を解除したようだ。
巨大な狼の上に首なしの大男が座っているという、極めて奇怪な出で立ち。体には血と傷の痕があるが、傷そのものは塞がっているようだった。恐ろしい形相で唸っ
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