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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
第7話 囚人目線って言うモノ
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馬鹿にされたようで、でもくすぐったい。よく分からない感情が、心の中をグルグルと渦巻く。
「琴葉……今相談して良いか?」
「ん? いーけど」
「琴葉は……俺の事、どう思ってる?」
すると、琴葉がピタリと脚を止める。…………おかしな事を聞いた事は自覚している。が、答えてくれるのが琴葉だ。
数十秒の静寂の後、琴葉は小さく言った。
「守らないといけない人、かな」
その言葉の意味が分からず、医務室までの間、その言葉の意味を悩み続けた。
◆琴葉side◆
一瞬、耳を疑った。
"琴葉は……俺の事、どう思ってる?"
どの様な答えを求めていて、どう答えればいいのか、分からなかったからだ。
レンは恋愛感情を、実験によって失っている。だから、恋愛系の答えを返すべきでは無いとは思った。違う答えを返してあげるのが正解で、望んでいる事なんだ。
だから、"守らないといけない人"と答えた。
私にとって、彼は"彼の実験"の被害に遭った、守るべき者だったから。
「…………い、おい! 聞いてんのか琴葉!」
「ん、おあっ!? って、翁か。驚かすな」
顔を上げた目の前に、翁の顔があった。額に青筋を浮かべていて、かなり苛立っている事が分かる。
「"驚かすな"じゃねぇ! 何回も呼んだわボケ! 御前さんも一度診察してやろうか!?」
「おいぃぃぃい、止めろー? 翁よ、落ち着けー?」
「落ち着いとるわボケ!!」
何処が落ち着いてんだよ、ボケ。
レンを医務室の奥に置いて来て寝かせてから数分。私は翁と相談をしていたのだが、ぼーっとしてた様だ。それが翁の癪に障ったらしい。
「……御前、最近感情が薄くなってきてないか?」
翁の不審そうな言葉に、
「な訳ないでしょ。私が感情薄れてきてるとなったら、今頃此の刑務所は既に木っ端微塵だ」
と、冗談交じりに言葉を返す。
「……御前だって、"奴等"と同じなんだ。少しは休め、仕事馬鹿」
「仕事馬鹿? なぁにそぉれ」
「御前にピッタリなあだ名だろ。つーか、ピシッと話しやがれ」
…………返事がしにくい。
これで肯定したら、私は「仕事に熱心なの! 真面目で良い子でしょ?」みたいな事を言ってるのと一緒。だが否定したら、翁が怒る。
如何すれば良い…………
「あ、そっすね…………」
翁の眼力に負けて、言ってしまった。
そりゃ、能面みたいな顔されたらねぇ? 笑う前に答えなきゃだしねぇ?
これで私は、自分で"いい子ちゃんぶってる子"認定した事となってしまった……のかな。
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