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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
無印編
第三話 過去の思い出
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「だがなシロウ。この世界にお主の場所は無くなってしまった」

 アルトと遠坂が涙を浮かべて、言葉を紡ぐ。
 女の子を泣かしちゃいけないって親父に言われてたのに泣かしてしまった。
 だが居場所がないのは仕方がない。
 魔術協会、聖堂教会と敵対している上、魔術の秘匿の不完全。
 こうして二人に会えただけでも僥倖。

「二人の頼みもあるが、ここで死なすには惜しい。
 ゆえにお主を並行世界に送る。もっともこれは遠坂の試験も兼ねてじゃがの」

 大師父の言葉と共に遠坂が宝石剣を取り出す。

「そうか、至れたんだな」
「あんたのおかげでね。まあ不完全なんだけど、ちょうどいい等価交換でしょ?
 それと向こうの世界では絶対に大切な人とあなたが幸せになりなさい」
「掴んでみせよ。いつか会いに行くからの」

 二人と最後の言葉を交わし、軽く口づけをする。

「ああ。行ってくる」

 その言葉を残し俺は元の世界を別れを告げたのだ。

 そんな長くもない人生で吸血鬼として生まれ変わり、さらに並行世界に新たな人生を求め渡る。
 ここまで来るとアーチャー(英霊エミヤ)と俺が本当に同一人物かどうかも疑問に思えてくるな。
 少なくともアーチャー(英霊エミヤ)は死徒ではなかったはずだ。

 確かに穏やかとは程遠い人生だったが後悔はない。
 いや、あるとすれば遠坂達を泣かしてしまったことだろう。
 だが新たな世界での俺の人生は始まっている。
 とりあえずは

「前に進むことを考えるか」

 カバンを持ち、街に向かって歩き出す。
 この太陽の位置だともう店も開き出す頃だ。
 まずはこの世界のことを理解しないことにはこれからの方針も決まらない。
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