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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
第4話 小ネタ詰め
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 最後に最終チェック班。飾り付け班が付けた飾りの位置を、魔法によって微調整する。御陰で、人の数十倍もの大きさをしたモミの木が、市販の小さなクリスマスツリー並みの精度で仕上がりつつあった。

 因みに巨大モミの木は、第一魔法刑務所の一の阿呆が買い、苗から魔法によって一瞬で育てたモノである。


「……ここまでは順調…………って、オイ!!」

 モミの木の上の方を見て、私は絶句した。
 やはり間違いだったか…………!

「レン、下りて!」

 木の天辺付近に、巨大な星を抱えたレンが居た。
 魔法は使っておらず、滑ったら真っ逆さまに落ちていき、地面に頭からぶつかって、確実に死ぬ。

 取り敢えず、この作業を九〇四番、八九番、四番、レンに任せたのが間違いだった。飾りの製作も、飾り付けも、飾りの微調整も出来ないだろうと考え、一番単純なクリスマスツリーの、あの天辺の星を付けろと指示したのが悪かった。

 少しすると、やはりレンは脚を滑らせ、飾りを抱えたまま落下してくる。
 周りの囚人が悲鳴を上げる中、咄嗟にレンの落下地点付近まで走る。脚を一瞬だけ魔法で強化し、地面を強く蹴る。そして、レンを俗に言う"お姫様抱っこ"して、地面に着地。すぐに九〇四番達が近寄ってきて、レンを心配し始める。そんなんだったら自分で行けやボケ。

「……ありがとな、琴葉」

 レンがお礼を言ってくる。こうやって面と向かって言われると、何というか小っ恥ずかしい気がしてくる。

「囚人を守ることは私の仕事なんだけど?」

 照れ隠しでは無い。自然と出て来た言葉で返す。が。

「ツンデレかー琴葉ちゃんはー」
「照れてるー」
「素直に『どういたしまして』で良いんじゃ無いのか?」

「煩い九〇四番、八九番、四番!!」

 暫くの間九〇四番と睨み合った後、申し訳なさそうに星の形をした飾りを抱えているレンに気付く。
 
 仕方が無いので、レンの膝と背中に腕を回し、再度"お姫様抱っこ"の状態にする。レンが慌て始めるが、気にせずに飛行魔法を使い、騒ぎの間に完成したクリスマスツリーの天辺まで上昇する。

「ほら。付けなよ」

 クリスマスツリーの近くまで寄ると、レンは星の飾りを天辺に付けた。すると、下の方で拍手が起こる。かなりの距離があるのに聞こえると言う事は、相当な音量なのだろう。


「イケメン死ねええええええええええええ!!!!!!」
「九〇四番!! てめぇ一回黙れぶっ殺す!!!!」


 変態担当は、何時だって、ぶれない。から死ねばいいのになぁ。


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