機動戦士ガンダム
2260話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「きゃ……きゃああああああああああああああああっ!」
空に響く、メリルの悲鳴。
いや、コロニーの中なんだし、空という表現は相応しくないのか?
メリルを抱きながら虚空瞬動で移動しつつ、そんな事を考える。
ちなみに、メリルを抱いているとはいえ、パイロットスーツ……そして下にはワンピースを着ている為に、その身体の柔らかさや温かさを堪能するような真似は全く出来ていない。
別に無理にそうする必要があるとは思えないんだけど。
ともあれ、虚空瞬動を使いながら空を移動していると、やがて目的のトレーラー……10台近いトレーラーが移動しているのが見えてきた。
よし、という思いと共に後ろを向くと……最悪な事に先程倉庫を破壊したザクがこちらに、正確にはトレーラーの方を見ている事に気が付く。
そして、ザクマシンガンの銃口がトレーラーに向けられ……
「ちっ!」
咄嗟に白炎を生み出し、ザクマシンガンと俺のいる場所を隔てる。
次の瞬間、ザクマシンガンの銃口からは何発もの弾丸が放たれるが、白炎に触れた瞬間には消滅……否、焼滅していく。
それを見て、ザクは戸惑ったように動きを止めた。
白い炎を見て動きを止めたというのもあるが、やはりザクマシンガンの弾丸が白炎によって防がれたというのが大きかったのだろう。
ザクマシンガンの弾丸というのは、言ってみれば戦車砲の砲弾と等しい威力を持つ。
……それどころか、場合によっては戦車の砲弾よりも優秀だったりする。
特に連射性はその最たるものだ。
それだけに、まさか今のような状況でいきなり弾丸が消えるとは思っていなかったのだろう。
今ので諦めてくれれば、こちらとしても楽だったのだが……生憎と敵はそのような物わかりの良さはなかったらしく、再びザクマシンガンを連射してくる。
だが、迎える結末は当然のように同じだ。
未だに空に存在する白炎により、触れた端から燃やされていく。
ザクバズーカの類ではなかった事を、喜ぶべきか。
ともあれ、それから3分程……ザクマシンガンは次々に俺に向かって放たれては、消滅していくといった事を繰り返す。
いい加減諦めてくれると、こちらとしても助かるんだが。
そんな俺の願いが通じたのか、やがてザクはザクマシンガンの連射を止め、その場から立ち去る。
「諦めた、か」
「……え?」
俺の呟きに、ただ呆然としていたメリルが呟く。
ちなみに現在のメリルは横抱き……一般的にはお姫様抱っこと呼ばれる状態で、俺の腕の中にいた。
「だから、ザクがだよ。……にしてもトレーラーの方もとっくに消えてるか」
空を飛びなら、先程までトレーラーのいた場所に視線を向けるが、そこには当然の事ながら、トレーラーの姿は影も形も存在していなかった
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ