第2話「ゴブリン村と牙狼族:前編」
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った。
その戦士はこの村の守護者のような存在だったのだが、その存在を失った事で、この村の存在価値が激減した。
他のゴブリンの集落は、この村を見捨てたのだ。
新参の魔物がこの村を襲っている間に対策を立てる! それが、他の集落の総意だった。
村長やゴブリンリーダーがいくら掛け合っても、冷たい対応をされたらしい。
村長達は、悔しさを滲ませてそう語った。
「なるほど…、でこの村には何人住んでいる? その内、戦える者は?」
「はい、この村は100匹くらい住んでます。戦えるのは、雌も合わせて60匹くらいです。」
何とも頼りない。
しかし、数を大体でも把握出来るというのは、ゴブリンにしては賢いのかもしれない。
「ふむ。相手、その新参の魔物の数と種族はわかるか?」
「はい。狼の魔物で、牙狼族です。本来、一匹に対し、我々10匹で対応しても勝てるかどうか…、
それが、100匹ほど……」
は? 何その無理ゲー…
俺は、再度シャルルを見ると目を瞑り何か考えごとをしていた。
再び村長を見ると決して、冗談を言っている目ではない。真剣に見つめ返してきた。
若干の濁りはあるが、ゴブリンにしては真摯な眼差しとでも言うべきか。
「その、ゴブリンの戦士達、勝てないと判っていただろうに少数で向かったのか?」
「…いえ、この情報は、その戦士達が、命がけで入手したものです……」
そうか、悪い事を聞いた。
更に聞いたところ、ネームドゴブリンは村長の息子で、ゴブリンリーダーの兄だったそうだ。
話を聞いて、どうするか考える。
村長は何も言わず、俺の決断を待っている。
俺の気のせいか、その目に涙が浮かんでいるような…気のせいだろう。
魔物に涙は似合わない。
傲岸不遜に行こう。それが、恐れられる魔物の正しい姿! ってものだ。
「村長、一つ確認したい。俺達が、この村を助けるなら、その見返りはなんだ?
お前達は、俺達に何を差し出せる?」
別に、気まぐれで助けてやってもいい。
しかし、こいつら10匹で一匹相手に出来るかどうかという魔物が100匹。
決して楽な相手ではない。
黒蛇に擬態すれば何とかなるとは思うのだが…
気安く請け負っていい話ではないのだ。
「我々の忠誠を捧げます! 我らに守護をお与え下さい。さすれば、我らは貴方様に忠誠を誓いましょう!!!」
そんなモノ、正直貰っても嬉しくはない。
しかし、今の俺は魔物なのだ。病気を恐れる事もない。
それに何より、村長の目。完全に俺達を頼りにしている。
前世を思い出す。
何のかんの言って、俺は頼まれ事に弱かった。
愚痴を言いながら、後輩に文句を言われながら、依頼主や先輩の頼みを聞き入れたものだ
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