第2話「ゴブリン村と牙狼族:前編」
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スライム様 何故そのようなお姿をされているのか、当方には想像も出来ませんが、いずれ、名のある魔物なのでしょう?」
妖気・・・だと?
何だそれ? そんなの出した覚えはないけど・・・
『魔力感知』の視点を切り替えて、自分を観察してみた。
何やら禍々しいオーラの様なモノが漂うように、俺の身体を覆っていた。
擬態や、『身体装甲』等を試した時に気付けていれば…。
これは恥ずかしい。
大通りを歩いていて、社会の窓を全開にしていた時のような感覚が、俺を襲う。
洞窟内は魔素濃度が濃かったので、全く気付かなかった・・・。
これはアカン! 明らかにアウト!
この時ようやく、今まで洞窟から出てからの魔物の反応の理由が解った。
こんな危険そうな奴、相手にしたがる魔物はいないだろう。
俺はシャルルをチラ見する時首を縦に振っていた。
その後は、無言になり俺と村長がはなしていく。
こうなったら、自棄だ。
「ふふふ。流石は村長、わかるか?」
「勿論でございますとも! そのお姿でさえ、漂う風格までは隠せておりませぬ!」
「そうか、分かってしまったか。お前達はなかなか見所があるようだな!」
だんだん気分がのってきたぞ! っと。
この調子で上手く村長を誘導して、誤魔化してしまおう。
同時に、禍々しいオーラ=妖気を消せないか試してみる。
体外の魔素を操る要領で、妖気を引っ込むように念じた。
「おお・・・。我々を試されていたのですね! 助かります。その妖気に怯える者も多かったもので・・・。」
妖気を隠す事に成功した。
俺の見た目は、普通のスライムになっている。
しかしだ。
果たして、普通のスライムと同じ格好で歩いていたとしたら…
かえって魔物の襲撃を受けて鬱陶しかったのではないだろうか?
結果オーライという事でいいのではないか。
「そうだな。俺の妖気を見ても怯えずに話しかけて来るとは、見所があるぞ!」
何の見所だよ…と、自分に突っ込みたいが、ぐっと我慢する。
気分は役者だ。
「はは! 有難うございます。…で、本当のお姿をお隠しの理由はお尋ねしませぬ。ただ…
お願いがあるのです。何とかお聞き届けて貰えませぬでしょうか?」
まあ、そんなとこだろう。
「内容によるな。言ってみろ。」
俺は尊大な態度を崩さずに、村長に尋ねた。
話の内容はこうだ。
東の地から、この地の覇権を狙って新参の魔物が押し寄せて来た。
この周辺には幾つかのゴブリンの集落があるらしい。
この集落はその内の一つなのだが、その新参の魔物との小競り合いでゴブリンの戦士が多数戦死したのだそうだ。
で、その中に名持ち(ネームド)の戦士がいたのが問題だ
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