第2話「ゴブリン村と牙狼族:前編」
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、森の中に、力ある人間の冒険者の侵入が増えた事。
そして、会話を続けている内に、相手の言葉もクリアに聞こえるようになってきた。
どうやら、【魔力感知】の応用での会話の遣り取りに慣れてきたお陰のようだ。
人間と会話する前に、ゴブリンで練習出来たのは良かったかもしれない。
そんな事を話しながら、彼等について行った。
村は、え? と言いたくなるほど、こ汚い感じだった。
所詮ゴブリンの巣穴、期待してはいけなかった。
俺は、その中では一番マシに見える建物? に案内された。
腐ったような藁の屋根で、隙間だらけであり、ベニヤ板を重ねただけのような壁の……
前世の感覚からすれば、スラムの方がまだマシ! というレベルの家だった。
「お待たせ致しました。お客人。」
そう言いながら、一匹のゴブリンが入ってきた。
そのゴブリンを支えながら、先程まで俺達を案内して来たゴブリンリーダーが付き添っている。
「ああ、いやいや。それ程待っていません。お気遣いなく!」
俺は営業で培った笑顔を浮かべて対応した。
所謂、スライムスマイルである。
笑顔一つで交渉を有利に進める。我ながら恐ろしい技である。
何を交渉するのかはわからないけれども…。
「大したもてなしも出来ませんで、申し訳ない。私は、この村の村長をさせて頂いております。」
そう言って、目の前にお茶っぽいものを出された。
ゴブリンにも、そういうのがある事に驚いた。
俺達はお茶を啜る。
味は感じられない。当然である、味覚が無いのだから。
この場合は、良かったのか悪かったのか・・・成分を調べたが、毒ではない。
ゴブリンなりの気遣いが感じられた。
「自分達をわざわざ村まで招待したという事は、何か用事があったのですか?」
とシャルルは直球で訊ねた。
村長はビクリ、と身体を震わせたが、覚悟を決めた様子でこちらを伺う。
そして言った。
「実は、最近、魔物の動きが活発になっているのはご存知でしょう?」
それは道すがら聞いたな。
「我らが神が、この地の平穏を守護して下さっていたのですが、ひと月程前にお姿をお隠しになられたのです・・・
その為、近隣の魔物が、この地にちょっかいをかけ始めまして・・・
我々も黙ってはいられないので、応戦したのですが、戦力的に厳しく・・・」
ふーむ。
神って、ヴェルドラさんの事か? 時期的には合う・・・な。
まあ、ゴブリンは俺達に助けて貰いたい、って事か。
「話はわかりました。しかし、自分スライムですので、期待されているような働きは出来ないと思うのですが?」
「ははは、ご謙遜を! ただのスライムと人間様にそこまでの妖気は出せませんよ!
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