536部分:第三十一話 ノートゥングその十七
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第三十一話 ノートゥングその十七
今はだ。ホルンシュタインを下がらせた。そうして遠くからドイツの勝利を讃える喚声を聞いていた。だがそれはバイエルンへの喚声ではなかった。
その王はまたバイエルンに来たプロイセン、ドイツの皇太子を迎えた。その際だ。
軍服を着て馬に乗り進む太子を同じく軍服を着て馬に乗り迎え敬礼で迎える。太子はその王に対して敬礼で返す。全てドイツ式の敬礼だ。
その敬礼を終えてからだ。王はふとこんなことを言った。
「はじめてだな」
「はじめてとは?」
「これが臣下としてはじめての敬礼だ」
こう周囲に呟いたのである。
「私のな」
「陛下・・・・・・」
「昔に戻っただけか」
王は馬上から遠くを見て述べた。
「バイエルンはかつては神聖ローマ皇帝の臣下だったのだからな」
「そのことはあまりです」
「御考えになられない方が」
「そうしようか。しかしだ」
だがそれでもだとだ。王はまた話す。
「私は最早至高ではないのだ」
「臣下だからですか」
「それ故に」
「これからはそうなる」
王はそのことを誰よりも感じ取っていた。そうしてだ。
その感じ取っている中でだ。また言うのだった。
「では後でだが」
「後で?」
「後でとは」
「太子に贈りものをしたい」
こう言ったのである。
「あの方にだ」
「バイエルンからですね」
「そうされたいのですね」
「受け取って頂ければいいが」
ふとこんなことも言った。
「そのことを願う」
「それは何でしょうか」
「一体」
「手に取るものではない」
そうしたものではないというのだ。
「また別のものだ」
「では名誉ですね」
「そうしたものですね」
「そうだ。あの方に名誉をお渡ししたい」
こう周囲にも述べる。
「是非な」
「そうですね。太子にとってもいいと思います」
「それは」
「そうだ。是非ともそうしよう」
こう話してだった。王は太子にそれを渡すことにしたのだった。
お決まりの華やかな宴に歌劇、そしてそれからだった。
王は太子の前に出てだ。こう申し出たのだった。
「宜しければですが」
「何でしょうか」
「贈りものをさせて頂きたいのですが」
卑屈ではなかった。臣下となってもそのうえでだ。
王は太子にだ。こう話したのだった。
「バイエルン国王として太子にです」
「私にですか」
「バイエルン王国大佐の階級をお渡ししたいのですが」
これが名誉だった。
「これは如何でしょうか」
「はい」
太子は王の申し出にまずは笑顔で頷いた。
そしてそのうえでだ。王のその好意を受けようとした。しかしだ。
ここでだ。太子の周りの者達がだ。その太子にそって耳打ちした。
その耳打ちを受けてだ。太子
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ