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英雄伝説〜灰の軌跡〜 閃V篇
第72話
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「ええ、で、エマ達はノルドに行ったはずよ。そういえば…………その島は前に”長”が気にかけてたわね。エレボニアでも有数の霊跡があるとかなんとか――――」

「へえ……?”長”―――エマが”お祖母ちゃん”、クロチルダさんが”婆様”と呼ぶ人だよな?」
セリーヌの話を聞いてある事が気になっていたリィンはセリーヌに確認した。
「ええ………実物を見たら驚くと思うけど。あの子たちにとったら実の祖母同然でしょうね。」

「という事は…………血は、繋がってないんだな?」

「当然そうなるわね――――なに、興味があるの?」

「まあ、当然気になるかな。」

「…………」
リィンが魔女の眷属(ヘクセンブリード)の”長”を知りたがっている事に考え込んでいたセリーヌはすぐに結論を出して、リィンに視線を向けた。
「…………フフ、いい機会かもね。エマから話ておいてくれって頼まれてもいたし。」

「え。」

「少しだけ、教えてあげるわ。あの子たちの過去と――――”魔女の眷属(ヘクセンブリード)”についてね。」


―――エマにヴィータ。とある里を拠点とする一族の末裔(すえ)として生まれた二人の娘達。ヴィータは早くに両親を亡くしたけど、その天賦ともいえる才能を見込まれ、”長”の一番弟子として引き取られたわ。一方、エマの母親は”在野の魔女”――――世俗の街で暮らしていたけど、不幸な事故で命を落としてしまった。エマは幼くして”長”に引き取られ、そして二人は実の姉妹のように育ったわ。長が生み出した2匹の使い魔もそれぞれ与えられたわ。

才気溢れるヴィータに、ちょっと引っ込み思案のエマ。どちらも善き魔女として成長し、穏やかな日々が続いたけど…………――――16歳の時、ヴィータが”巡回魔女”に志願したの。

里の外、世の情勢を見極める役目――――”長”は安心して送り出したけど、半年でヴィータは消息を断ってしまった。エレボニアのみならず、大陸全土にまたがり暗躍する結社”身喰らう蛇”…………その首領たる”盟主(グランドマスター)”と邂逅し、魔女としての使命を棄ててしまったの。”長”は随分後悔したみたい…………過去にも似たような事があったのにどうして警戒できなかったのかって。ここだけの話、ヴィータが”七日戦役”の件でメンフィルの標的(ターゲット)になった事を知った時、里に伝わっている禁術や秘術、貴重な魔導書等や最悪は”長”自身の身柄を対価に何とかヴィータの命を助けてもらえるようにメンフィルと交渉するつもりだったらしいわ。

話を戻すけど慕っていた”姉”を失ったエマのショックはそれ以上だった。『あやつ事は忘れよ』という”長”の言葉にも納得せず、その日からひたらすらに修行と勉学に励んでいったわ。同じ巡回魔女となっていつか”姉”を
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