第三十六幕:太陽を想う虹と
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めでの演奏を行うと、微調整によって結構音色が異なってくるようだ。シリンダーと振動弁の距離が重要な要素になっており、距離を詰めると音色は大きく硬くなり、距離を開けると小さく柔らかい音色になる。元々、どのくらいの音色だったのか分からないので、楽曲と俺の感覚で位置決めを行うが、仮止めで良い音になったと思って本締めを行うと、振動弁が微妙に動いてしまい、仮止めの時の音色と異なってしまう。
時崎「なかなか難しいな」
仮止めで、良い音を探りながら、少しずつ2個のネジを交互に締めてゆくと、最終的に仮止めの時の音色のまま本締めへと辿り着く事が出来た。
時崎「すみません」
店員「交換できましたでしょうか?」
時崎「これでどうでしょうか?」
店員「拝見いたします」
時崎「お願いいたします」
店員さんは、オルゴールのメカユニットを眺め、音色を確認した。
店員「お客様、とても上手くご調整なされてます!」
時崎「そうですか!?」
店員「ネジをしっかりと締める時に振動弁が傾いてしまう事がありますけど、お客様のオルゴールではシリンダーと振動弁が綺麗な等間隔になっていて演奏も安定しております!」
時崎「良かったです。ひとつ、質問してもいいですか?」
店員「はい。どうぞ」
時崎「今回のような破損を防ぐ方法ってありますか?」
店員「衝撃を加えない事ですけど、保管する時は演奏が自然に止まった状態・・・動力源のばねがリラックスした状態ですと、振動弁の破損は免れたかも知れません」
時崎「なるほど。ありがとうございます!」
俺は、店員さんへのお礼と、お会計を済ませた。
時計を見るとお昼を過ぎていた。隣街の駅前の喫茶店で昼食を頂き、急いで風水へ戻る。戻る時も風景素材として使えそうな写真を撮影する。少しでも時間を有効に使いたい。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
時崎「ただいま!」
凪咲「おかえりなさい。柚樹君」
時崎「オルゴール、なんとか直せました」
凪咲「ありがとう。また柚樹君に助けてもらったわ♪」
時崎「いえ。七夏ちゃんと天美さんは?」
凪咲「七夏は心桜さんをお家まで送るって」
時崎「そうですか。では俺、今からオルゴールを天美さんの家に届けてきます!」
凪咲「心桜さんの家、分かるかしら?」
時崎「はい! 大丈夫です! 早い方がいいと思うので!」
凪咲「ありがとうございます♪」
風水に帰って来たばかりだけど、そのまますぐに出掛ける。
時崎「それじゃ!」
凪咲「柚樹君!」
時崎「え!?」
凪咲さんは冷茶を持って来てくれた。
凪咲「玄関先でごめんなさい」
時崎「ありがとうございます! いただきます!」
冷茶を一気に頂くと、喉が渇いていた事を再認識させられた。
時崎「では!」
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