27話 二刀流使いの苦労
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「そういえば、アスナがもうすぐでボス部屋って言ってたね」
「キリトもそんなこと言ってたな。そろそろ全部マッピングし終わるって」
あまり豪華ではない夕食を食べ終わった後、リアとツカサはそのまま食卓に座り、リアの淹れたコーヒーをすすりながら、日課である新聞に目を通していた。この新聞は、SAO内で発行されているもので、制作には情報屋の何名かが携わっているらしい。ただ、難点はあまり信憑性が高いとは言えないため、鵜呑みにできないところはあるが、所謂何でも屋を営む彼らにとっては結構重宝しているのだ。ここには、情報屋に代金を払えば求人願いを出したり、尋ね人を載せたりもできるため、負担にならない範囲であれば、その依頼を手伝うこともある。
「特にめぼしいものもなさそうだな」
「そうだね、依頼文もなかったし」
実体化させていた新聞を再びアイテムウィンドウにしまい、もう必要ないため削除する。
背もたれに寄りかかり、カップに口をつける。相変わらず犬のようなルーにかまってやるリアをぼんやりと見ながら、ツカサは昨日のことを思い出していた。
―?―?―?―?―?―?―?―?―?―?―?―
リアが出て行ったあと、何かする気にも、動く気にもならず、そのままの体勢でいた。
リアはいったいどこに行ったのだろう。だが、別に子供じゃあるまいし、あの強さだ、心配することはない。そう思っていたし、今リアに会ってもどうしようもできないだろう。ツカサはそう思い、フレンドマップで追跡することもしなかった。
寂しそうにツカサを見つめるルーを無視し続けていたら、どうやらあきらめたらしく、再びソファの定位置に戻っていった。
すっかり日が傾き、月が顔を出し始め、部屋の中は真っ暗だ。だが、今はこの暗闇が妙に心地よく感じる。
その時だった。何の前触れもなく、いきなり玄関が音を立てて開いたのだ。まったくの無音だったため、思わずツカサの肩は跳ね上がる。
「あれ、ツカサ君、こんな真っ暗な中にいたの?電気ぐらい付けなよ」
数時間ぶりに人の声がこの家に響き渡り、電気が付けられる。仮想世界のため、いきなり明るくなっても目が眩むこともなく、玄関に立っている一人の人物をすぐに認知する。揺れる長いディープブラウンの髪に、大きな二重の灰茶色の瞳。正真正銘、リアだった。
まるで、何事もなかったようなリアに、ツカサは困惑していた。まるで先ほどの言い争いを忘れてしまったかのような態度だ。
「ごめんね、遅い時間になっちゃって。すぐご飯作るね」
そういって、リアはキッチンへ向かう。その態度はいたって普通。…いや。
ツカサは、わずかに震えた言葉の語尾をとらえ、思わず唇をかむ。
今
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