「だから、責任はわたしがとります」
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さりと手放すという敵であるはずのカイサラに、キズメルは呆気に取られてしまったらしく。騎士としてそれは恥ずべきことだったのか、面白げに笑うカイサラと聞くショウキにコホンと咳払いしつつ。
「あまり言える立場ではないが……カイサラ殿と戦うことがないのを祈る」
「そうか? 私は誉れ高きエンジュ騎士団の者と戦えるなら望むところだが……誰かに決闘をすっぽかされてな」
「それは……決闘を放棄するなど、騎士の風上にもおけないな」
秘鍵を起動するカイサラの横目がショウキに向いて、それと同時にショウキはカイサラと目をあわせないようにした。そのキズメルが言う決闘を放棄した騎士の風上にもおけない者とは、十中八九、先の戦いで決闘を申し込みつつそれを利用したショウキの話だが。やぶへびをつつく趣味はなく、聞こえなかったふりで対処する。
「そういえば聞いていなかったが、カイサラ殿が手を貸す報酬というのは?」
「ん……ああ。このショウキたちに《ヨツンヘイム》と呼ばれる場所へ連れていってもらう。遥か地下の極寒の地だが、話を聞く限り、我らが故郷の残り香のようだ」
「故郷か……」
気のせいか、カイサラは少し不満げな表情をショウキに向けつつ。カイサラたちの協力に関しての見返りは、この件が終わった後に《ヨツンヘイム》へとフォールンたちを連れていくこと。浮遊城の眼下にある妖精たちの郷、そのさらに下にある大地であるヨツンヘイムこそ、《アイングラウンド》への手がかりが残っているのではないか、と。
「過酷な地だそうだが……故郷と同胞の手がかりは、もはやこの浮遊城にはないのでな……起動したぞ」
不満げな表情から寂しげな表情へ。騎士としては見られたくない表情だろうと、ショウキもキズメルにあわせて目をそらすと。同時に聖大樹が転移門として起動できたのか、老成の域に入っていた大樹が白く輝いていく。
「……行こう」
これからどうすればいいかは分からないけれど。とにかく今は、キリトを信じて転移門を潜る他なかった。久方ぶりに向かうことになった《はじまりの町》へ。
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