「だから、責任はわたしがとります」
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らず、髪を掻いて辺りを見渡す他なく。普段ならばリズが背中を叩きながら教えてくれるところだが、あいにくと不在でいて。代理という訳ではないが、ゆっくりと背後に回ったアルゴがボソリと呟いた。
「200」
「買った」
「毎度アリ……もっと褒めてやりナ」
「あー……プレミアのおかげで乗りきれた。帰ったら何か欲しいものあるか?」
「むふー……ではそうですね。ショウキのホットドッグが食べたいです」
ショウキとアルゴしか知りえない小声による超高速商談が終わり、ショウキは恐る恐るプレミアの髪に手を伸ばし、軽い力でいい子いい子と頭を撫でる。どうにかそれでプレミアは満足してくれたらしく、誇らしげにそれを受け入れてくれた上に、リクエストもずいぶんと懐かしい手軽なもので。
「あれでいいのか?」
「はい。あれがいいです」
「巫女殿はこういった表情をするのだな。我々には見せてくれなかった表情だ」
今の状況を忘れてしまいそうなほのぼのとした空間が広がりつつあったが、さらに洞穴から出てきた人物がそれを留めてくれた。フォールン・エルフが5人にそのリーダー、《剥伐のカイサラ》の姿を見るや否や、周囲の索敵をしていたキズメルが抜剣してそちらへ向かう。
「貴様……!」
「キズメル! ……カイサラも、待ってくれ」
「……ショウキ。そなたと言えども、この者たちとともにいる理由を説明できなくては、切り捨てざるをえない」
「理由なら簡単だ、エンジュ騎士団よ……巫女殿を助けに来た」
ただしエルフたちが一触即発になりかけた瞬間、ショウキがその間に止めに入る。洞穴から出てきた以上、この場にフォールン・エルフを連れてきたのはショウキであり、キズメルやエルフの軍勢からの殺気が向けられていく。ただしそんな殺気に臆することはなく、カイサラはさらりと言ってのけた。
「信じられんな」
「キズメル。俺がカイサラたちに助けを求めたんだ。話をさせて欲しい……カイサラたちがいなくては、俺たちはプレミアを救えない」
プレミアが洞穴から出ていったあと、ギルバートの《聖大樹》に転移してきたフォールン・エルフたちに、ショウキがしたことは交渉だった。内容は《聖大樹》の転移を使って、ひとまずプレミアを逃がすこと――プレミアが何をするにしろ、この層から逃げることが難しい以上、再び転移して味方と合流するほかない。元々は転移に必要な秘鍵を奪うつもりだったが、カイサラからの答えは予想外の快諾だった。
「……理由は?」
「理由は二つ。一つは我々には残された同胞がいないこと」
疑う姿勢を崩さないキズメルに対して、カイサラは指折り理由を説明していく。カイサラたちフォールン・エルフはカイサラを含めて5人であり、それらが全ての人数
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