「だから、責任はわたしがとります」
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惨に潰れ、全身の切り傷と切断された片足によって、もはや立つことすらままならない。両腕は火炎弾の防御のために使ったのか焼けただれており、HPが0になっていない――いや、そこで生きていることが不思議だった。
『最初のわたしはなにもありませんでしたが、ショウキやユイと会ってわたしになれました。わたしは、この世界が好きになれたんです』
それほどまでに部位が欠損することは、むしろ少女がNPCであることの証明であったものの。残った片目から流れているとめどない涙が、彼女が痛みを感じて苦しんでいることもまた、理解させた。相手がNPCとはいえ、反撃どころか逃げようともしない少女の姿をしたモノを殺す趣味はないと、プレイヤーたちはお互いに視線を交わしあう。
『ですが今、わたしのわがままでそんな皆を困らせてしまっています。謝らなくてはいけませんので、わたしはここで死ねません』
ただしそんなプレイヤーの心中などは分からないまま、プレミアはただただ語り出していた。自分で何を言っているかも分からないまま、とにかく集まった皆さんに自分のことを知ってもらおうと、ただただ喋っていた。
『つまり……つまり、わたしはこの世界で生きています。生きているんです。生きています、生きています!』
もちろんプレミアにも痛みはある。苦しみもある。今すぐ泣きじゃくってショウキに助けを求めたいが、必死になって悲鳴をあげないように堪えていた。ここで悲鳴をあげてしまえば、恐らくショウキが出てきて戦ってしまうだろうから。
『死にたくありません。つまり、見逃していただきたいのです』
――ただ、見逃して欲しいという言葉はプレイヤーたちを正気に戻してしまう。
「逃がすか!」
討伐対象が逃げる、と考えたプレイヤーの一人が長剣を抜くと、プレミアへと振りかぶった。ユイが引きずって逃げようとするものの、片足がないプレミアに避けられるはずもない。
「やめろ!」
間一髪のところでガーネットが杖で割って入り、どうにか長剣を防いでみせる。ただし新たな武器を持った闖入者にプレイヤーたちが色めきたったために、ガーネットはじたんだを踏みながら愛用の杖を放り投げ、長剣持ちのプレイヤーの胸ぐらを掴んだ。
「アンタ聞いてなかったのか! プレミアは、この子は生きてんだよ! この世界が好きな子供が、なんで死ななくちゃいけないってんだよ!」
「なに言ってんだよ……NPCに……」
「NPCだって生きてるって言ってんだろ! どうしてこの子が生きてちゃいけないのか、答えられる奴がいるのかよ!」
ガーネットの剣幕に長剣持ちのプレイヤーは目を逸らすと、一部のプレイヤーたちがざわめきをもらす。するとプレイヤーたちにどこからか矢が放たれ、プレイヤーたちを囲むように
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